IKUEI NEWS vol72
21/48

近年、リベンジポルノという、SNSを使って交際相手の裸の画像を流すと脅したり、実際に流したりする事件も起きています。交際相手はあなたのモノではありません。独占したいという気持ちが起きたとしても、相手の行動を制限し束縛することは暴力です。愛情には相手への信頼や尊重があり、束縛にはそれがありません。 さらに、おごらされる、お金を借りても返さないなどの経済的暴力に加え、恋人同士だからこそ深刻な被害をもたらすのが性的暴力です。合意のない性行為、避妊をしないこと等は全て性暴力です。その結果、中絶したり、望まない出産、結婚で学業を中断したりする場合もあります。性的暴力も精神的暴力同様、心に深い傷を与えます。人には、「性的自己決定権」という性に関する事柄を自分で決定する権利があります。自分が嫌ならNOと言っていいし、相手のNOを受け入れることも大切です。交際相手と性について話しあうことができればいいですね。暴力や束縛は愛ではない男女の対等な関係のもと、DVのない社会を DVの要因としては、①力(経済力、学歴、社会的地位、年齢差等)を持つものは、そうでない相手を支配してもよいという考え方、②多少の暴力が許される社会、③ジェンダーに基づく偏見等が考えられています。ジェンダーとは、オス・メスといった生物学的な性差ではなく、社会的、文化的、歴史的につくられた性差のことで、いわゆる女らしさ、男らしさのことです。例えば「女性は可愛ければいい。男性(夫)に従う方がよい。優しくてよく気がつく、あまり自己主張しない」「男性は多少暴力的な方が男らしい。弱音を吐かない。行動力、経済力を持ち、女性をリードする」等です。このような性差に基づく偏見(ジェンダー・バイアス)を持った男女がカップルになると、対等な関係ではなく、上下関係、暴力や支配に繋がりやすい関係ができてしまうのです。 デートDVへの対策は、暴力や束縛を愛と勘違いしないことです。例えば、「別れたら死ぬ」と言うのは脅迫という暴力です。もしあなたが被害にあったら、一人で悩まず周りの友人に話して、信頼できる大人、先生や学生相談室、親などに必ず相談して下さい。暴力やストーカー行為があれば、警察にも相談して下さい。別れる時は暴力が激しくなることが多く危険です。別れるのに合意はいらないのですが、相手がどうしても話したいと言うのなら、昼間、信頼できる友人と一緒に会うようにし、相手の家や人気のない場所には行かないことです。同居中や過去に同居したことのある恋人からの暴力に対しては、保護命令(※)も適用されます。 日本は経済力の差や国政への女性の参画の低さから、男女格差ランキングは世界101位。これからは男性の生活自立、女性の経済的自立(男女の賃金格差解消)が不可欠です。私たちの授業では、実施後「束縛することが愛だと思っていた」「大切な人を傷つけていた。過去の自分が恥ずかしい」「講義を受ける前と後で自分の価値観が大きく変わった」等の感想が寄せられています。お互いに尊重し、対等で自立した関係の大切さを学んだ人たちが、DVに苦しむ人や子どものいない社会を築く大きな力になると信じています。※保護命令:配偶者からの暴力で生命・身体に重大な危害を受ける恐れのあるとき、被害者を保護するために裁判所が出す命令。正井 禮子(まさい れいこ)ウィメンズネット・こうべのHP http://wn-kobe.or.jp/デートDV等の電話相談 078-731-0324(月・水・金曜10時~16時)神戸大学教育学部卒。1992年にウィメンズネット・こうべを発足させ、女性と子どもの人権を守り、男女平等社会の実現に向けて地域でさまざまな活動をおこなう。1995年の震災以降は主に「女性に対する暴力」の根絶、特にDV被害者の支援活動に取り組み、中学~大学生等若い世代を対象にデートDV防止のための出前授業も行っている。18

元のページ 

page 21

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です