IKUEI NEWS vol72
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DV・デートDVの実態 2014年の内閣府の調査によれば、女性の4人に1人(約1272万人)がDV(ドメスティック・バイオレンス=配偶者からの暴力)を経験し、そのうち9人に1人(約145万人)が生命の危険を感じるほどの暴力を経験しています。しかし多くの女性は、経済的見通しがたたない、家庭を壊してはいけない等の理由から暴力のある家庭に留まっています。DVは個人的問題ではなく社会全体で解決すべき問題です。 DVの中でも、特に交際中のカップルに起きる暴力のことをデートDVと呼びます。DVと内容はほぼ同じですが、特に束縛と性暴力が深刻です。交際経験のある男女のうち、デートDVを経験した女性は19・1%、男性は10・6%。これが、同棲の際の被害経験では女性29・8%、男性18・2%に上昇します。年齢別に見ると、20代では女性30・7%、男性13・3%がデートDVの被害を経験しています。この数字から、大学生にとっても他人事ではないということが分かります。しかも、被害経験のある人の中で、生命の危険を感じた人が女性25・4%、男性12・0%もいます。さらに問題なのは、デートDVを経験したが別れなかった人が46・9%と半数近くいることです。この「別れにくい」というのも、デートDVの特徴です。 ウィメンズネット・こうべはDV被害女性の支援を長年行なっています。活動を通して、被害者の心の傷を回復するには長い時間がかかること、離婚後の生活再建が非常に厳しいこと、子どもが親のDVを見聞きする「面前DV」が子どもの心身の発達に大きな影響を与えること等を知りました。DVの加害者と被害者を作らないために、若い世代を対象にデートDV防止教育を始め、これまで約17万人に授業を提供しています。デートDV被害者の多くは被害を自覚していません。一人でも多くの人が、DVやデートDVについて正しい知識を持つことが、被害者の支援やDV防止に繋がります。身体的暴力には限らないさまざまなDV DVというと、未だに殴る・蹴るといった身体的暴力だけをイメージする人が多く、「殴られていないからDVではないのですが……」という言葉をよく聞きます。そのため、当事者も周囲もDV被害に気づきにくいようです。DVとは「力(パワー)で相手を自分の思い通りに支配(コントロール)すること」です。怒鳴る、人格を否定する、束縛(交際相手の行動、交友関係を制限)する、脅すなどといった精神的暴力は、相手の自己肯定感、安心や自信、心の自由を奪います。これらは見えないDVとも呼ばれ、心に深刻なダメージを与えます。 最近は携帯電話を使った暴力も多くなっています。メールの即返強要、予定をメールで報告させる、スマホを勝手にチェックする、ラインを勝手にブロックする……。若い世代にとって、スマホは手帳、住所録代わりであり、それを壊されたり内容を消されたりするのは、社会生活から切り離されることを意味します。大学生も他人事じゃない~デートDVの実態と対策寄稿●3正井 禮子NPO法人 女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべ 代表理事身体だけでなく、精神的な暴力も深刻なDV暴力や束縛を愛と勘違いせず、相手を尊重しよう女性の4人に1人が被害経験者にもかかわらず、自覚する人の少ないDV。交際相手を支配するのではなく、対等で自立した関係を築けば防ぐことができます。明日への視点現代若者の恋愛・結婚事情自分を育てる学生生活の過ごし方1717

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