IKUEI NEWS vol72
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その人は自分の音楽的才能に自信を持ち、アイデンティティ形成に結びつくことになります。 青年期を経て、やがてアイデンティティが形成されると、やる気や活力などの「エネルギー」を自ら安定的に生み出せるようになります。これを、「大人になった」、「独り立ちした」とも言います。一般的にアイデンティティが形成される時期は、社会人となって責任感ある仕事を経験し、周囲からその仕事ぶりを認められる頃です。 本題である大学生の恋愛に話を戻すと、青年期の恋愛では相手との「エネルギーの受け渡し」を行うことによって、いまご紹介してきたアイデンティティ形成を促進する効果があります。幼少時は親の愛情からエネルギーを受け取っていますが、思春期を迎え親のエネルギーを素直に受け取れなくなります。青年期の恋愛は、まさにこのエネルギーを補い、自己形成へと導いてくれるエネルギー源なのです。恋愛は自己確立のためのエネルギー源 私は、恋愛をアイデンティティ形成の観点から研究しています。アイデンティティとは、簡単に言えば「自分の存在意義、存在価値」です。したがって、アイデンティティ形成とは、「自分とは何者なのか」という問いに対する自分なりの答えを見出すこと。そして、これは「他者から認められることで、自分が選択した行動や生き方に自信を持った」時に形成されるものです。例えば、「ギターの演奏に才能がある」と思っている人の街角での演奏に、多くの人が足を止めて聴いてくれた時、広く世界をとらえる理想の恋愛と閉鎖的な恋愛 恋人は友人とは異なり、他の誰にも代えがたいもの。だから恋愛とは一対一の関係なのです。このような関係を「愛着関係」といい、親子関係や夫婦関係もこれに該当します。恋人から好意を伝えられたり、励まされたり、認められたりすることでエネルギーを受け取ります。同じ方法で相手にエネルギーを与えられます。相互にエネルギーを与え合い、結果としてアイデンティティ形成を助け合う状態が、青年期の恋愛の理想の形なのです。 部活動やサークル活動、就職活動へのエネルギーを恋人から貰い努力し、そこで成功体験を得ることができれば自分に自信がつき、アイデンティティ形成へと大きく前進します。次に感謝の意を込めて恋人にエネルギーを返し、今度は恋人が成功体験を得るため努力する。この繰り返しが相互の成長に貢献する青年期の理想的恋愛関係なのです。 このようなエネルギーを与え合う関係和光大学 現代人間学部准教授 髙坂 康雅エネルギーを与え合い、共に成長する恋愛をしようこうさかやすまさ10

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