IKUEI NEWS vol72
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恋愛を科学から紐解き、政治学の立場から少子化を防ぐ「恋愛学」 私が大学で講義をしている「恋愛学」は、人間の恋愛を科学的に研究する学問です。恋愛学の研究は、データの分析など、あくまでも科学に立脚することを軸としています。 恋愛学は、様々な方向から学際的な研究が可能です。例えば、人間を動物として捉えれば生物学が関係し、繁殖という観点から研究ができます。あるいは、自分を一つの商品と捉えれば経済学、恋愛を意思決定と捉えれば心理学の方向から突き詰めることができるのです。 政治学者である私がこの分野の研究をはじめた理由は、「少子化」に強い問題意識を持っていたからです。日本はこれからの30年間で、人口が約2700万人減少すると予測されています。これは現在の東京・神奈川・千葉を合わせた人口に匹敵するほどの数であり、それだけの人口が減る未来を考えると、とても恐ろしく思えました。 現在の日本の出生率は全体でおよそ1・4人です。しかし、既婚者の出生率は約1・96人と、既婚者には平均で2人の子どもがいるといえます。このことから、未婚の男女が増えていることが出生率の低さに通じていると考えました。若い世代が結婚しなくなったことを問題と捉え、少子化を食い止めるために、恋愛学の研究に立ち上がったのです。恋愛結婚が主流の日本における深刻な問題 恋愛は、男性にとっては損が少ないもの。しかし、女性には子どもを出産するという、自身の体をかけたリスクがあります。ですから、恋愛は、失うものが少ない男性が女性にアタックするというのがあるべき姿です。男性が自分の持っている貴重な資源、つまり時間やお金、労力を投資して、その見返りに愛を勝ち取るという形が本来の恋愛なのです。 そして、現代の結婚のきっかけは、約88%が恋愛です。つまり、男女が結婚に辿り着くには、自ら相手を探し、プロポーズまで持っていくための努力をしなければならないのです。そんな時代で男性が奥手のままだったり、女性は「白馬の王子様」が現れるのを待っていたりしたら白骨化してしまいます。 しかし、社会は恋愛を妨げる問題を抱えています。その代表格が、スマートフォンやパソコンの普及によるコミュニケーション能力の低下と、非正規社員の増加です。ある調査によれば、大学生世代にあたる20代は、一日あたり平均で7時間以上、テレビやパソコン、スマートフォンなどのメディアに接触しています。ネット上でのやり取りには長けていても、対面でのコミュニケーション能力は低下しているのです。 また、賃金労働者のうち非正規社員の占める割合は年々増加し、現在では4割を超えています。お金がなければ余裕がなくなりますし、単純に異性と付き合うための資金もありません。なかなか恋愛が難しい時代になって早稲田大学 国際教養学部教授 森川 友義大学時代は、誰も教えてくれない「恋愛」を学ぶチャンスとも のり7

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