ikuei news_vol74
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-----理系出身の学長として、上智大学の理系教育についてはどのようにお考えでしょうか。 これまでさまざまな大学で理学にも工学にも長く関わってきましたが、理学は真理を探究する分野、工学は応用や実用化を目指す分野と、はっきり分かれている感覚があります。本学の理工学部では、それを一つに集約した「理工融合型」の教育をしています。2008年には、「機械工学科」、「電気・電子工学科」、「数学科」、「物理学科」、「化学科」、「生命科学研究所」の5学科1研究所を、「物質生命理工学科」、「機能創造理工学科」、「情報理工学科」の3学科へ再編し、専門分野の垣根を低くしました。 理工融合型の教育を行なっている目的は、「複合知」を備えた人材を育成するためです。社会に出たときに、一つの専門知識だけで成立するプロジェクトというのはそうはありません。理系でも他分野、あるいは文系の知識が必要になることもあるでしょう。複合知とは、広い領域の基盤となる知識を身につけ、専門を超えて関連する分野を連結して考えることができる能力のことです。 複合知をつけるためにも、この学部では6年制で学ぶことを推奨しています。大学では自分の関心のある専門分野だけではなく、色々な分野のエッセンスをうまく混ぜ合わせながら広く勉強していく。その後大学院へ進学し、自分の関心のある専門分野を特化させていくことで、専門に強く、専門以外も広く知る人材になるのです。 学科再編にあわせて、各学科に専門を超えて幅広い知識を備えた科学技術者を育てる-----学長が現在進めている方策で、今後の上智大学はどう変わっていくのでしょうか。 いま私が大切だと考えて進めているのは、ダイバーシティです。ダイバーシティとは多様性を受容するということ。例えば、女性の積極的な登用などがそうです。私は以前、本学の男女共同参画推進補佐をしていて、女性教員を増やすためにさまざまな方策を練ってきました。その成果もあり、理工学部の女性研究者の比率は当時の5%から 12%まで上昇しています。また、男性職員の育児休暇取得を推進するため、2週間という絶妙な長さに設定し、学会出張と同様に取り扱う育児休暇制度をつくり、昨年その第一号が出ました。こうしたダイバーシティを進めることで、多様性に寛大な心を持った今の若い世代が役職者になったとき、本学の組織環境は古い考えから抜け出し、大きく変わると期待しています。「世界を動かす上智」に向けて四谷キャンパスに隣接するクルトゥルハイム聖堂。鷲をかたどったモチーフが印象的な上智大学のエンブレム。あった同窓会も消滅してしまいましたが、代わりに2013年に「理工学部同窓会」を設置しました。この理工学部同窓会が理工学部と組み、「つくる」という名前の学生のキャリア形成教育科目をスタートし、これが非常に良く機能しています。この科目は、幅広い分野で活躍する理工学部の卒業生たちに講師を依頼して、社会でいかに複合知が大切になるかを学生たちに説いてもらうものです。講座は大変好評で、理工学部のために設置したにもかかわらず文系の学生の方が多いという状況は、まさに複合知を体現していると言えるでしょう。31

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