ikuei news_vol74
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-----学長に就任するまで、様々な大学で教鞭をとられてきた早下学長が感じる「上智大学の魅力」とはなんでしょうか。 大きな魅力は、この四谷のキャンパスに9学部29学科が全て集約されていることです。多くの大学では学部ごとにキャンパスが分かれており、学生同士の交流もその限られた範囲でしかありません。しかし、ここでは文系・理系、学部学科に関係なく、課外活動や授業を通して触れ合える環境があります。 自分と違う考えを持つ人と日常的に接することで、コミュニケーション力を自然と培えるのです。小さなキャンパスではありますが、同時に一体感も強く感じることができます。 もう一つは、教員と学生の距離が近いということ。勉強や研究に興味が持てず、ドロップアウトしてしまう学生が大学には少なからずいます。本学はその出自からカトリックの教えを教育の根本としており、「弱い人間に寄り添う」という精神のもと、一人ひとりの学生にしっかりと向き合った教育を提供しているため、学生が一人で悩んで大学を去っていくという状況を未然に防いでいます。 本学では、教育精神として”Men and Women for Others, with Others” を掲げ、「他者のために、他者とともに」という心を大切にしています。他者のために生きることができる人材の育成には、人間力を養う教育が必要です。そこで、本学では全学共通科目として「キリスト教人間学」を行なっています。私は、専門の能力を高めるだけが教育とは考えていません。教育の根底にあるのは、やはり人間教育なのです。そして、昨今叫ばれているグローバル人材とは、単に世界で活躍する人材のことではなく、その地域の文化や言葉を理解して、現地の人と心を通じ合って問題を解決していく人材のことだと考えています。そうした人材を目指して育成することが、本学の魅力ではないかと思っています。コンパクトなキャンパスで行なわれる人間味溢れる教育-----学長に就任されたその年、総合グローバル学部を新設されました。設置のねらいを教えてください。 総合グローバル学部を新設したねらいは、語学教育を通してからではなく、はじめからグローバルな考え方を教育することで、社会に出てすぐに世界を舞台に活躍できる人材を育てることにあります。 この学部では、二つの領域から世界について学んでいきます。一つが、国際政治論と市民社会・国際協力論を含む「国際関係論」。もう一方が、アジア研究と中東・アフリカ研究という「地域研究」です。まずは国際関係論で世界全体を見る視点を、地域研究で地域に起きている問題を理解できる力を同時に養ってもらい、それから必要な言語を後から習得していくという形を取っています。 本学には、国際連合等の国際機関で働いている卒業生が大勢います。本学としても、教育精神と一致する職場の一つであるため、そういった場所で活躍していく人材をいま以上に輩出したいと考えています。これまでは外国語学部を出て、海外の大学院へ行き、国連でインターンシップを経験して、国連機関へ入るというパターンが多くありました。しかしそうではなく、学部を出てダイレクトに国連機関を目指せるような教育を、この学部では行っています。 国際社会で活躍できる力をつけさせるとともに、「グローバル・コンピテンシー・プログラム」という教養プログラムの中では、国連機関など海外でのインターンシッププログラムを用意することで、現場の様子をその目で見てくる機会を与えています。 本学の名誉教授には、国際連合での活動が有名な緒方貞子さんがおられます。第二、第三の緒方さんを輩出していくため、その核となる学部が総合グローバル学部だと私は考えています。総合グローバル学部がグローバルな人材育成のコアとなる初代学長、ヘルマン・ホフマン先生の銅像。上智大学は、ASEAN政府主導の多国間留学制度「AIMS Program」に日本の代表校として参加し、学生の受入・派遣を行っています。30

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