ikuei news_vol74
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めることが大切です。「まず3分から」というテーマで私が考案したのが、「フリフリグッパー体操」です。これは、好きなポップスのリズムに合わせて歌を唄いながら足踏みし、腰を左右に振りながら、手はグーパーと開閉、パーで手を叩くという、全身を使いながら何となく楽しくなる軽い運動です。 また、大学生のような、ある程度スタミナのある若い世代におすすめしたいのが、「高強度インターバル運動(トレーニング)」です。これは、一時的な高強度の運動を、休み休みやるという形式の運動です。例えば、30秒間、全力の7割程度の速度で走った後、1〜2分存分に休み、また同様に走る、それを1セットとして10セット程度繰り返します。高強度といっても、この程度の短時間なら誰でも耐えることができるレベルです。このトレーニング法は上手く行えば長時間低強度で行なう運動と比べ、低容量ながら同等に持久力を上げることが明らかになり、糖尿病治療の現場でも導入されるなど、色々な場で多くの人々に実践されています。 さらに注目されているのが、運動とリズミカルな音楽の関係です。音楽に乗って運動をする際には、特にノリのいいグルーブ感のあるリズムが重要だということが徐々に分かってきました。この考えのもと我々は、どを思い出して、「持久力をつける=苦しくて嫌なこと」だと思ってしまいます。それが運動を敬遠する人が多い要因の一つになっていると私は考えています。 そこで、「プチ持久力」をつけることを提案します。プチ持久力とは、日常生活で階段を登っても、少し走っても、呼吸が乱れない程度の能力です。マラソンランナーほどの持久力でなくても、ほんの少しの持久力を若いうちからつけておくことで、大学生の勉強する力、社会人になった時に仕事をする力を下支えしてくれるのです。運動をより楽しくするリズミカルな音楽 持久力向上には、激しくない、いわゆる運動強度の低い、長時間の運動が効果的と言われています。ジョギングやエアロビクスなどがその好例です。しかし、いきなり「1時間のジョギングを継続しよう」と勧めても、実行に移す人は少ないでしょう。 まずは、短時間の軽い運動から始めてみましょう。我々は最近、短くて軽い運動でも、脳とりわけ認知機能を支える脳部位が十分活性化することを、世界で初めて明らかにしました(※)。それが楽しいと感じられれば、続けることができ、自然と持久力もアップします。最初から長時間行おうとせず、継続できるレベルで気楽に始リズミカルな音楽を利用した運動を「スポーツ+アーツ」で「SPARTS」と名づけ、普及に努めています。実際に、我々が考案した「2分間SPARTS体操」は、被災地支援として岩手県陸前高田市の多くの小学校で取り入れられ、グラウンドが仮設住宅で埋まっていて運動不足な子どもたちやその家族の、持久力や認知能力を含む体力アップ、気分向上に貢献しています。気分が落ち込んだら運動しよう 若者の一部には、将来への不安などから、うつ病が広がっていると言われています。特に就職という人生の大きな転機を迎えるとその不安は最高潮に達します。就職活動の準備は、対策本を読んだり、エントリーシートを書いたりするだけではなく、身体を動かして心身をたくましく維持し、元気で前向きな「気分」と、長期の戦いを耐え抜く「プチ持久力」をつくっておくことが大切なのです。 まずは短い時間から身体を動かして、「身体を動かすことは楽しい」という感覚を掴みましょう。楽しければ前向きな気持ちが芽生え、運動の回数が増え、時間も延びます。そうするとプチ持久力がつき、さらには脳の機能が向上するという良いサイクルへ入ることができます。※2014年5月7日付ナショナルジオグラフィック参照。1959年、群馬県生まれ。筑波大学大学院修了(体育学修士)、群馬大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。修了後、三重大学教育学部助教授、エジンバラ大学客員准教授、ロックフェラー大学客員准教授、筑波大学体育系准教授を経て2009年より現職。運動がどのように脳を発達させるかを研究し、「脳フィットネス」を高める運動条件の探索と運動プログラムの開発を進めている。著書に『運動生理学20講 第3版』(共編著、朝倉書店刊)、『新版 これでなっとく 使えるスポーツサイエンス』(共編著、講談社サイエンティフィック刊)、『フリフリグッパー』(ワニブックス刊)など。征矢 英昭(そや ひであき)スパーツ8

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