IKUEI NEWS vol.73
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ラーニング・コモンズには人的支援が必要 いま多くの大学図書館が、学生の主体的な学びを支援するスペース、ラーニング・コモンズを設置しており、文部科学省の2014年度「学術情報基盤実態調査」によれば、設置率は約43%に達しています。これは、2008年に文部科学省・中央教育審議会が発表した学士課程答申(※1)以降、高等教育の再構築が要請される中で、アクティブラーニングが重要視されるようになった結果です。しかし、ラーニング・コモンズという「場所」だけを作っても、そこに関わる「人」、つまり大学図書館員が変わらなければ、大きな学習効果の向上は期待できません。ラーニング・コモンズでは、大学図書館員による学生サポートが必須です。 本学では、より専門的に学生を支援するための職員、「教育・学修支援専門職」の育成を進めようとしています。これは、学習、留学、キャリア、履修など学生生活のさまざまな場面をサポートする専門職員で、大学図書館員もこの一角を占めることになると考えています。本学の「アカデミック・リンク・センター」は2015年7月に文部科学大臣から「教職員の組織的な研修等の共同利用拠点」としての認定を受け、「教育・学修支援専門職」の養成に向け、他大学の職員の方にも参加していただけるSD(※2)プログラムの開発をすすめているところです。学習支援人材の不足を解消する、大学図書館員の新たな役割 これまで大学では、教員が授業外での学生サポートを行なっていました。教員の絶対数はデータ上増加傾向にありますが、研究プロジェクトのために短期的な有期雇用教員が増えた結果で、授業を担当して学生と接する教員はむしろ減少しています。またかつては、授業の負担がない代わりに、研究の腕を磨きながら学生の面倒も見る若手教員の「助手」が多数いました。いまは助手が助教に変わり、一人の自立した研究者とみなされるようになったものの、数は大幅に減少し、また彼らの関心は研究成果をあげることに向きがちです。有期雇用の教員たちも、研究成果が上がらないと継続雇用されないため、学生に費やす時間がありません。 かつてのような講義型の授業とは異なり、主体的な学びには、学生をサポートする人材が必要ですが、大学はそのような人材を用意できていません。そこで、これからの大学では、職員も学生の教育や学習を支援していくべきだと私は考えています。特に学習分野では、大学図書館員はこれまでも情報リテラシーやライティング・スキルの向上を支援しており、自然な発展だと思います。教員・職員・学生が協力し、チームでありながら「個」として機能する 学生が学びの質を上げるためには、必要な文献や情報を探す能力から始まり、それを評価・蓄積し新たな知見を導く、一連の流れすべてにかかわるスキルの向上が必要です。大学図書館員はその全ての局面に関わることができ※1 「学士課程教育の構築に向けて」と題する答申。学士の学位取得者に共通の能力「学士力」を提示するなど、学生の「質」保証を大学に求めたもの。※2 SD(Sta Development):職員を対象とした、管理運営や教育・研究支援までを含めた資質向上のための組織的な取り組みのこと。竹内 比呂也千葉大学 副学長/附属図書館長アカデミック・リンク・センター長/文学部 教授主体的学びのサポーターへの変化が求められる大学図書館員図書館は、大学の学習支援の中心に5

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