IKUEI NEWS vol.73
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るミレニアル世代の学生たちは、モバイル機器で行う検索も、図書館で行う検索も同じ質だと思っている。違いは大きいのだが、それを分からせるのが難しい」と嘆く。彼はいま、アンダーグラデュエイトの学生たちのために、図書館やインターネット検索のノウハウを教えているという。大学図書館員に求められるスキルセットの変化 学生の図書館使用の方法がオフラインからオンラインに移行するにつれて、図書館員の役割も大きく変わってきていると、パデュー大学のマリンズもアマースト大学のゲファートも言う。1988年からミシガン大学が誇る法律専門図書館クックに働いているガラバグリアは、「図書館員の役割やそれに必要とされるスキルセットの変化は、一種革命的」とまで言う。「これまで図書館員の多くは、静かな環境を好み、書籍についての深い知識を持ち、一種孤高の生活を楽しめる人材であることが条件だった。だが、今の図書館員は、急速に変化している環境についていける柔軟性と、プラクティカル(実践的)な知性と、学生たちと談笑のできる社交性が必要」と言う。 また、パデュー大学のマリンズは、「学生たちがデジタル・ライブラリーをどのように使っているかのデータを収集するため、6年前にインダストリアル・エンジニアリングのPh.D.を持っている男性を雇った。彼の指導のもと、学生がどのようにウェブページをチェックしているか、どのページに長く留まるかなどについてのデータを集めた。このデータのおかげで、実際の図書館とデジタル・ライブラリーの相互作用、統合をどのように行うべきかを理解した。学生を図書館に引きつけるには、図書館側のこういった努力が必要だ」と言う。未来の大学図書館はどこへいく? 大学図書館の新しいあり方の研究に関しては、マリンズ氏が率いるパデュー大学は最も先端を行く大学だと言えるだろう。パデュー大学は、2015年、米国大学・研究図書館協会(ACRL)から、大学図書館最優秀賞を受賞している。その功労者とも言えるマリンズは、大学図書館の新しい方向を模索する中で、図書館がアクティブラーニング(IKUEI NEWS69号参照)の最も有効なツールになり得るというアイデアに辿り着き、パデュー大学はいま、7900万ドルをかけて、16万4千平方フィートの面積を持つ「アクティブラーニング・センター」なる巨大な校舎を建設中である。完成後には、現在パデュー大学にある12の図書館の6つが統合されて入館する。学生は、授業に出席する前に、これらの図書館の資料パデュー大学の図書館は、いつも学生たちで賑わっている。「出来るだけ、家庭的な雰囲気を保つよう、努力している」と、マリンズは言う。ミシガン大学クック図書館の内観。ゴシック様式の建築の中で、学生たちが勉強に励んでいる。やデータを駆使して、予習を行う、いわゆるアクティブラーニング・システムを導入する計画だという。「これからの図書館は、毎日の授業、アクティビティ、教授たちのカリキュラムなどと密な関係を持つようにならねばならない。学生たちはそういった活動を通して、情報リテラシー(情報がどこにあるかを理解する知恵)を見につける。それは彼らの学業を大きく助けるだろう」とマリンズ。また、ミシガン大学のガラバグリアは、「事実、うちの法律専門図書館クックのライブラリアンは、みんな弁護士の国家試験を通った弁護士たちがあたっている」と言う。「あの大学には素晴らしい図書館があるから入学しようという学生が多くなることが、大学図書館の未来だと信じる」と、アマースト大学図書館長のゲファートは言う。 一方、フロリダ州の科学技術専門大学フロリダ・ポリテクニック大学には、本の一冊もない図書館が登場している。近代的な校舎の一角にある広い、ミニマリズムとも言えるスペースには、コンピュータが並んでいるだけで、書籍の影も形もない。これもまた、未来の図書館のモデルの一つかもしれない。2017年に完成するというパデュー大学の「アクティブラーニング・センター」には、6つの図書館が入り、学生たちは、授業の前にまず図書館で予習することを求められる。円卓を囲んだ写真は、アクティブラーニング・センターに登場する予定の教室の風景。24

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