IKUEI NEWS vol.73
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新世代の学生を取り込むために変化する大学図書館 そこで、大学図書館の多くは、ミレニアル世代(1980年代から2000年代前半に生まれた世代)の大学生を図書館に誘導するために、これまでにはなかった色々なサービスやアイデアを導入するようになっている。 例えば、伝統的な図書館ではひそひそ声で話す事を要求されていた。だが、最近では普通の声で話すことを許している。また、これまでは禁じられていたグループでの会合やディスカッションなども、図書館で行うことを奨励している。そのため、クラスルームに似た個室や会議室のようなスペースが用意されるようになっている。「ほとんどの図書館にはカフェテリアがあり、コーヒーを飲んだり、軽食を食べたりできる。これまでに比べ、気軽に立ち寄れるようになった」と、パデュー大学でメカニカル・エンジニアリングを勉強しているトレント・ローは言う。 パデュー大学の大学院で博士号を取るための勉強を続けているクリス・カレザは、「自分が今日あるのは、図書館をフルに利用したおかげ」と前置きし、「アンダーグラデュエイト(大学の学部課程)の学生たちの多くは、図書館を勉学のために利用する方法を知らない。デジタルネイティブであの調査を行っているセンゲージ・ラーニング社のスポークスマンはいう。 同社は2015年、「大学生たちはどのように大学図書館を使っているか」という調査を行っている。その調査は、米国の大学生が、主に左記のような4つの理由で、大学の図書館を利用していると報告している。①一人で勉強するため…77%/図書館が提供する豊富な情報源よりも、学生たちが最も貴重としている図書館のメリットは、一人になれるスペースである。②図書館でのみアクセスできるオンライン・データベースを使うため… 51%/さまざまな事情(アルバイトのため、交通機関がない、他の勉強に忙しいなど)で図書館に行けない学生のために、自宅や寄宿舎から図書館のデータベースにアクセスすることを許している大学も増えている。③参考資料を使うため…39%/購入するのに非常に高価な学究的論文、研究レポートなどを見るために、またはデジタル化されていない特別文献を見るために図書館に来る学生もこの中に入る。④ミーティングに出席するため…34%/広いスペースや大きいデスクなどがある図書館を、勉強会やゼミナール、友好会、グループ・ディスカッションなどのミーティング場所として貸す図書館は多い。理由が何であれ、学生が図書館に来ることは好ましいとして、こういったミーティングのために図書館スペースを利用することをプロモートしている大学もある。デジタル・ライブラリーと伝統的な図書館 一方で、ここ数年、図書館を訪れる学生の数が減少していると、パデュー大学にある12の図書館のエグゼクティブ・ディレクターとして活躍しているジム・マリンズ(Ph.D.)は言う。オンライン図書館の台頭がその原因であることは言うまでもない。「オンラインで全てのリサーチができるわけではない。デジタル化されていない情報やジャーナル、論文などはいまだにたくさんある。だが、図書館に来ず、オンラインでできるリサーチを寮や自宅で行う学生が増えていることは事実だ。それが、大学図書館のトレンドであることは間違いない」と言う。「我々としては、それが図書館の本であろうと、オンライン情報であろうと、最も有効な、最も良質な情報が集まるところに学生が行き着いてくれればいいのだ」と、アマースト大学のゲファートは言う。一方、「インターネットは図書館ではない。図書館を有効に使うためには優秀な図書館員の存在が必要なのと同じように、インターネットでのリサーチにもガイダンスが必要だ。それを得るために図書館にやってくる学生も多い」と言うのは、ミシガン大学クック図書館のディレクター、バーバラ・ガラバグリア。 マリンズは、「デジタル・ライブラリーのために、伝統的な図書館が壊滅すると危ぶむ人もいるが、ちょうど、テレビが登場してもラジオが生き残って独自の道を歩いているように、デジタル・ライブラリーのために、伝統的な図書館がなくなることはないはずだ。どちらの方法にしろ、学生が〝図書館〞をより頻繁に使うよう、誘導する必要はあるだろう」と言う。アマースト大学図書館長、ブリン・ゲファート。「大学図書館の優劣は、高校生の大学選びにほとんど影響を与えていない」と嘆く。ミシガン大学の有名なクック図書館のディレクター、バーバラ・ガラバグリア。クック図書館は法律専門の図書館なので、ライブラリアンは弁護士の資格を持っている。「学生の質問に答えられなければライブラリアンではない」と言う。パデュー大学には12の図書館がある。その全てのディレクターを勤めるジム・マリンズは、図書館管理のためのPh.D.を持っている。2017年に完成するアクティブラーニング・センターは、マリンズのアイディアから生まれたものだ。パデュー大学大学院でポリティカル・サイエンスの博士号を取るために勉強しているクリス・カレザは、「アンダーグラデュエートの学生は、図書館の使い方を知らない。自分が担当する授業では、それを教えている」と言う。「大学を卒業したら、海軍に入って、飛行機乗りになりたい」というパデュー大学の4年生トレント・ロー。図書館には毎日、気軽に立ち寄り、友人と談笑したり、カフェテリアで軽食を食べたりする。「知らず知らずのうちに、図書の重要さが分かってくる」と言う。ライブラリー23

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