IKUEI NEWS vol.73
19/40

左から寺西浩事務長、長島明嘉主査。大学図書館に行ってみよう事例取材「他の学習者が見える」ことで学生の意識が高まる 情報図書館に一歩足を踏み入れると、ガラス張りの大きな吹き抜けと中空に浮かぶ5つの透明な球体が目に入ります。図書館の設計者で成蹊高等学校出身の建築家・坂茂氏は、ガラス張りの吹き抜けを用いて、キャンパスに広がる母校自慢のケヤキ並木を、図書館という学修環境に取り入れました。 この図書館は、「会話可能なエリア」と「私語禁止エリア」を段階的にゾーニングしています。例えば館内に浮かぶガラス張りの球状の施設、グループ閲覧室の『プラネット』は、普通に会話しながらの学習が可能で、ゼミ授業やグループ学習に活用されています。その他、1階から5階までを貫く吹き抜けエリア『アトリウム』でも、小声での学習会話が可能で、共同作業や情報交換などに利用されています。 反対に、私語禁止なのが各階奥の開架エリア。開架書架を取り囲むように、静かな環境で集中して学習できる、全面ガラス張りの個別閲覧室『クリスタル・キャレル』が設置されています。図書館事務室主査の長島明嘉さんは、『クリスいの機会が減ったことが、問題点の一つだと寺西さんは話します。 「開架書架も約55万冊とできるだけ増やしていますし、新刊のお知らせを積極的にするなどして、できるだけ学生が本と出会う機会を作っていきたいと考えています」。 さらに今後について、「学生の学修支援をもっと進めたい」と寺西さんは話します。 「図書館は、学生の学修支援をする中核的な施設です。教員とも相談しながら、図書館として学生に何を提供すれば学修効果が上がるのかを考えて支援をしていきたいと思います。まずは、館内でパソコンを使って学習する学生のために、情報通信技術の相談員を設置することを考えています」。タル・キャレル』の特徴について次のように語ります。 「『クリスタル・キャレル』は全266席あり、そのうち138席にはパソコンが完備されています。オープン当初は予約システムがなく、学生は歩き回って空席を探していましたが、2013年からは学生証をタッチすれば空室確認ができる予約管理システムを採用し、より利用しやすくなりました」。 『プラネット』、『クリスタル・キャレル』の共通点は、その「透明性」にあります。図書館事務室事務長の寺西浩さんは、「他人の目がない場所ではだらけてしまう学生でも、ガラス張りの透明な空間で、周囲の学生が学んでいる姿が目に入ると、自然と意識が高まるようです」と、デザインが学生の学修意欲に与える影響を語ってくれました。 「学生のより良い学び」を掲げ、これからも改革を リニューアルから 10年。その間に『クリスタル・キャレル』の予約システムのほか、Wi‐Fi環境の整備など、より良い学びの環境作りが続けられてきましたが、新たな課題も見えてきました。 その一つが、地下に設置した約70万冊を収容する自動書庫。見たい本をすぐに検索・取り出しできるものの、開架のような学生の本との思いがけない出合2006年9月、成蹊学園100周年記念事業の一環として開館した、多彩な情報収集能力を備えた「知の拠点」である情報図書館。先進的なデザインの図書館は、学生の学修支援に多くの成果をもたらしました。そして約 10年。時代の変化は、更なる進化に向け新たな課題を提起しています。成蹊大学図書館 情報図書館「透明性」を重視した空間デザインが、学生の学修意欲をかき立てるばんしげる全面ガラス張りの個人学習スペース『クリスタル・キャレル』は、全室空調完備。『アトリウム』が浮かぶ吹き抜けは、たっぷりと外の光を取り込みます。16

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 19

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です