IKUEI NEWS vol.73
18/40

小規模だからこそできた新たな試み 小樽商科大学附属図書館では、2012年度から「クラスライブラリアン」制度をスタートしました。これは、司書資格を持つ図書館職員が各学年に1名ずつ、学年担当として入学から卒業までを一貫して担当するというもの。日本の大学では現在、小樽商科大学だけが採用している制度です。導入のきっかけについて同大学の学術情報課・結城憲司課長は、「2011年度の当大学図書館基本方針策定の前年に実施した学生へのアンケート調査で、図書館のレファレンスサービスの利用経験者が、わずか 13%という、図書館員には衝撃的な結果が明らかになりました。この改善のために、図書館のサービス内容の周知、学生ニーズの調査、より効果的な学習支援を目指して発足したのが『クラスライブラリアン』制度です」と語ります。 また、結城さんは、「小規模大学だからできたこと」とも話します。 「クラスライブラリアンは1人で入学から卒業までの4年間を通して、一つの学年だけを担当します。本学が1学年約500名という規模だからこそ、1人の担当でも個別のメールや相談に対応できます。また、各部署との連携も取りやすいという利点を活かし、就職や留学など、直接は図書館業務に関係のない内容でも、連携して学生を支援することができます」。 現在、4年生のクラスライブラリアンを担当する学術情報課の三浦千穂さんに、主な活動内容を伺いました。 「各学年のニーズに応じた情報提供や、文献の探し方、データベースの使い方指導、各種講習会の企画などを行っています。私が担当する4年生の場合は、卒業論文のテーマ決めに役に立つ資料や、論文ニーズをしっかりと把握し、本当に学生が望む学習支援を提供していきたいと思います」。 また、図書館の体制強化も必要だと結城さんは話します。 「現在は正規職員の4名のみで各学年を担当していますが、それぞれ通常の司書業務もありますので、できることが限られています。また、休みの際などに代わりがいない状態も防がなければいけません。非常勤なども含めて体制を強化し、図書館全体としてこの制度に取り組む必要があると考えています」。 まだ発展途上のクラスライブラリアン制度。結城さんに今後の展望を伺いました。 「最終的には、アクティブラーニングやグローカル人材の育成など、大学の方針に沿ってクラスライブラリアンを有効に機能させていければと思います。まだ試行錯誤中ですが、少しずつ壁を乗り越えていきたいです」。の書き方など、卒業論文執筆を支援する内容が主です。特徴的なのは、『卒論見学会』です。大正時代から保管されている歴代の卒業論文を公開し、4年生になったばかりの学生が、そもそも卒業論文がどのようなものかを知るきっかけにしています」。当面の課題は「認知度アップ」と「体制の強化」 クラスライブラリアン制度がスタートして約4年。現在の状況について、三浦さんに伺いました。 「学生からの相談という部分では、まだクラスライブラリアンが活用されていないと感じます。何を相談したらいいか、どう利用したらいいかが分からない学生も多いのでしょう。今後は、実際に寄せられた相談内容を掲示するなど、クラスライブラリアンの役割を具体的に知らせて、認知度を高めていきたいです。また、アンケートなどを通して学生の小樽商科大学附属図書館では、国内の大学図書館で初のクラスライブラリアン制度に取り組んでいます。小規模大学図書館の新しい学習支援の形として注目されるも、まだ発展途上のこの制度。試行錯誤の毎日です。小樽商科大学附属図書館学生と司書の繋がりを強化するクラスライブラリアン制度ラーニング・コモンズで学生たちが学習に励む様子。学生の相談に対応する三浦さん。左から三浦千穂さん、結城憲司課長。明日への視点変化する大学図書館をもっと活用する自分を育てる学生生活の過ごし方1515

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 18

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です