IKUEI NEWS vol.73
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講演会なども、本と人を結びつけるために行われている。内容に関連した本の紹介は欠かさず、講師などにもできるだけ本の紹介や本についてのエピソード等を織り込むように依頼している。 論理的かつ信頼度の高い本で、広い視野で考えるための知識基盤を作る 知識を蓄積するためには、読書が欠かせない。それは、本が特定のテーマに関して体系的な記述を行っているからだ。特に学生時代には、論理的で体系的な記述で学んだ方が良い。もちろん、断片的な記述を集めて総合的に組み立てるスキルも大切だ。実際、社会に出るとそうしたスキルを駆使することが求められるようになる。しかし、学生時代のうちは、体系的な記述の本を読んで、広い視野で考えることができる基盤を作ることが必要だ。焦ってはいけない。 また、本は繰り返し読むことに適している。繰り返し、それも考えながら読むことで脳への定着度が高まる。さらに、本は声に出して読むことで脳への定着の速度を高めることができると言われている。自宅で声に出して読むこともお勧めしておきたい。そして、図やイラスト、写真、チャート図などビジュアルで理解し易くしたものが多くあることも本の良い点だ。 加えて、情報の早さという点で、本はインターネットの後塵を拝すが、一般的に内容の信頼度はインターネットより本の方が高い。信頼度をみる指標として誤記入、誤植の多寡という基準があるが、本の場合、200ページを越えるものでも誤植は数個から10個程度だ。これに比べてインターネットは誤記入、誤植が目につくサイト、ページが多い。「選りすぐりの本」を活用し、知識を深める 最後に、学生が図書館で興味の連鎖を活用し、大学で学んでいる知識を深めるために、どのように図書館を利用すれば良いのか考えてみよう。  図書館の本は、「選りすぐりの本」だと言って良い。日本で出版される本は、国立国会図書館の納本制度に基づいて納本される本で見ると、1年間で17〜18万冊ほどである。その中の本屋を通じて手に入る7〜8万冊の中から、図書館員によって厳選されたものが図書館の本棚に並べられている。それらを、興味や関心に基づき次々と手に取って内容を確かめたり、読んだりできるのが図書館だ。本棚から気になる本を片っ端から抜き出して閲覧机に積み上げ、ゆっくり1冊ずつ内容を確かめたり、コピーを取ったりしても誰にも文句は言われない。不必要な本は近くのブックトラックに返しておけばいい。実に利用しやすい。 もしその図書館にない本を利用したければ、他の図書館から取り寄せてもらえる。また、図書館員に聞けば、本に関するさまざまなことや、オンラインデータベースの使い方も教えてもらえる。これらをフルに活用することで、大学で学んでいる知識を深めてほしい。大串 夏身(おおぐし なつみ)1948年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、東京都に司書として勤務。東京都立図書館、東京都企画審議室調査部などに勤務後、昭和女子大学に勤務。1997年より同大学教授、2007年より同大学大学院生活機構研究科教授。2015年退職。著書に『挑戦する図書館』『調べるって楽しい! インターネットに情報源を探す』『これからの図書館 増補版―21世紀・知恵創造の基盤組織』(青弓社)など多数。10

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