IKUEI NEWS vol.73
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国会図書館所蔵資料の電子化により、日本中の図書館で利用可能に 国立国会図書館の資料電子化を加速させたのは、グーグルでした。グーグルは2004年頃から、世界中の図書館の所蔵資料をデジタル化し、全文検索を可能にする「図書館プロジェクト」を始めました。その中には日本の著作物も含まれており、日本のコンテンツであっても、グーグルのデータベースから検索することになりかねない状況でした。 そこで、私は国立国会図書館の委嘱を受けて研究会を作り、電子書籍の調査研究を行い、報告書を提出しました。その後、2009年3月の補正予算で、それまで1億円程度だった国立国会図書館の資料デジタル化予算が、一気に127億円に増えました。 2014年の1月には、国会図書館のデジタル化資料を一般の図書館で利用できるように、著作権法と国会図書館法が改正されました。これにより、国会図書館が所蔵するデジタル化資料のうち、市場において入手困難性の高い絶版本に限り、大学図書館・公共図書館から国会図書館のサーバーにアクセスして閲覧、プリントアウトすることが可能になりました。ただ、導入していない図書館があったり、導入していても使い方を指導していなかったりするために、実際には全ての図書館で利用されているわけではないのが現状です。学生の文献調査の質を高める「ディスカバリーサービス」 このような電子書籍サービスを利用できないのは利用者にとって大変な不利益です。そこで本学では、文学部の1年生で、授業でレポートの書き方を学ぶと同時に、図書館の使い方も一緒に学ばせています。 例えば学生が、「平安時代の貴族にとって、和歌はどのような意味を持っているか」についてのレポートを書くとします。蔵書検索(OPAC)で「平安時代」「貴族」「和歌」などのキーワードで検索しても、1件の蔵書しかヒットしません。しかし、本当にその資料しかないわけではなく、本のタイトルや分類に該当しなかっただけです。 そこで学生は、より網羅的な検索システム、「ディスカバリーサービス」(※1)を利用します。所蔵する図書・雑誌だけでなく電子ジャーナルやeブックもまとめて検索し、しかも本文からの検索機能を備えています。先ほどと同じキーワードを入れると、eブックの本文に多数ヒットし、4630件の資料が見つかります。 今までは書籍のタイトルや分類だけだった検索対象が、本文のテキストデータまで広がります。これは、グーグル図書館的な取り組みです。こういった図書館の機能を活用すれば、蔵書検索だけの場合よりも課題やレポートを格段に充実したものにできます。定番本・新刊本の電子書籍化を大学側が出版社に要請 立命館を含む8つの大学図書館(※2)は、学術書の出版社に対して、定番本の電子化を要請しており、徐々に実現してきています。定番本は授業のレポート・課題等で、受講生全員が読む必要が※1 蔵書検索だけでなく、電子ジャーナルやeブック、学術論文や新聞記事などの各種データベースから網羅的な検索が可能なサービス。※2 大阪大学、慶應義塾大学、神戸大学、東京大学、名古屋大学、奈良先端科学技術大学院大学、福井大学、立命館大学。立命館大学 文学部 教授 湯浅 俊彦学びの質向上と効率で使い分ける通読は書籍。幅広い検索は電子書籍。7

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