IKUEI NEWS vol72
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大学生研究フォーラム 2015(一棟一機能)。私はこれに違和感を覚えました。一方のお茶の間はそのすべてを兼ねる、「ワンルーム・マルチファンクション」(一部屋多機能)でオープンな場です。そこで、はこだて未来大学は一棟多機能になっています。 私たちが作ってきたのは、現代の寺子屋であり、お茶の間であるような大学です。そこでの学習へのアプローチは、これまでの受け身で個人的な「知識獲得モデル」ではなく「参加過程モデル」です。これは、実践的な活動に役割を持って参加し、集団への関わりが強まっていくプロセスこそが学習であるという理論です。その中でも強く意識したのが、学習の「共同性」と「社会性」です。前者は、2人以上の人間が協調的に活動することによって理解が深まる、後者は、学習は社会的に意味のある活動の中で動機づけられるという学習の特性です。これらをもとに、大学という学びの場をデザインしてきました。学習共同体としての大学 本学は、2000年4月に開学した情報系の単科大学です。システム情報科学部の中に2学科を擁し、一学年が240名。大学院も含めて全学の学生数が1200名、教員70名、職員60名という小規模な大学です。私たちはここで、「仕切りをなくす」を教育理念に、まず教室の仕切りをなくし、オープンスペースの利用により学習を活性化しました。また、科目の仕切りをなくし、プロジェクト型学習や協調的学習、チーム・ティーチングを導入し、コミュニケーション・スキルも学びます。そして、学習者の仕切りをなくし、教職員はもちろん、地域の人たちや企業の方々も含めて多様な人々が学習に関わるようにしました。 仕切りのない大学は、「学習共同体としての大学」になり、学生、教職員が垣根なく学び合い、地域や企業の人々も巻き込んで、そこに関わるすべての人に対して学びの機会を提供しています。地域社会との連携のもと、実際の問題に取り組むプロジェクト学習 本学では3年次必修でプロジェクト学習を実施しています。その特徴は、まず、1グループが10名程度の学科混合の学生と、数名の教員で構成されること。次に、実社会の問題に関わるプロジェクトのテーマを教員が学生と共有し、具体的内容を学生が考えるところから始まること。そして、1年間のプロジェクト学習の成果は、最終発表会などを通じて学内外に公表され、連携企業や地域社会へフィードバックされること。このような流れで、専門的な知識・技術を実社会の問題に適用することで磨き、課題を解決し、プロジェクトの管理・運営方法も学んでいくことになります。 教員は前年度の2月にテーマを申請します。申請書にはプロジェクトの目的やタイトル、共同作業者はもちろん、予定される最終成果物のリスト、活動計画や活動を通して得ることができるスキルまで記載することになっています。教員があらかじめそこまで設計して提案することで、学生たちは、いままで受けてきた授業や習ってきた学問との関係、および自らが向上させたいスキルでテーマを選ぶことができます。毎年約20のテーマが申請され、海外との交流や地元医療機関との連携、ITを使った世界への発信などを通じて、社会的文脈の中で学生たちが学ぶことになります。はこだて未来大学の本部棟内観。仕切りのないオープンな空間で、学生・教員が共に学んでいます。6

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