IKUEI NEWS vol72
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「学習科学」で学習環境をデザインする 私の専門は、「人がいかに学ぶかについての理解に基づいて、テクノロジーを使いつつ学習過程を支援する」という、情報工学と教育学と認知心理学に関わる分野です。ここ20年で、学習科学(Learning Sciences)として確立してきました。 実際に行なっているのは、「学習環境のデザイン」です。かつてデザインは、「モノの望ましい機能や新しい形状を創造する行為」だと考えられていました。しかし最近では、「狭義のデザインの適用範囲を、モノからコトにまで広げた、新しい仕組みを創造する行為」をデザインと呼ぶようになりました。私は広い意味で学習環境を捉え、学習の目的や対象、要因など学習に至るまでの過程を、物理的環境も含めてデザインしています。寺子屋とお茶の間を目指したはこだて未来大学のデザイン 私が公立はこだて未来大学の設立に関わった際、理想的な学びの場のデザインとして、まず参考にしたのが寺子屋です。自学自習、個人に合わせたカリキュラムで、同室にいながら皆が異なる課題に取り組む。そんな中、子どもたちは他の子どもに対する先生の指導をそれとなく聞いていました。そして、寺子屋は先生の家で開かれることが多かったので、先生自身の生活が見え隠れしていました。 もう一つ参考にしたのがお茶の間です。いま私たちが住んでいる洋式の住宅では、リビング、書斎、寝室など部屋ごとに役割があります(一部屋一機能)。典型的な大学は住宅と同じく、教室棟、研究棟、図書館などに分かれています大学生研究フォーラム 2015基調講演21世紀の学びのデザイン〜サスティナブルからレジリエントへ〜美馬 のゆり公立はこだて未来大学 教授5

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