IKUEI NEWS vol72
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変化する消費のカタチ「価値」への理解がキーポイント価値創造をテーマにした事業や組織の変革をサポートするコンサルタント。2015年3月まで、電通の戦略コンサルティング部門で、国内外のクライアントのブランディング、マーケティング、イノベーション、組織変革などの課題に対し、戦略から実体化までを一貫してサポートするサービスを行ってきた。慶應義塾大学大学院 工学修士。米国南カリフォルニア大学MBA。価値創造コンサルタント・元(株)電通岡田 浩一 氏グッズ・ドミナント・ロジック(GDL)からサービス・ドミナント・ロジック(SDL)へ(図)GDL製造業サービス業モノ(製品)モノコトコト(サービス)SDL価値価値2015年 大学院生セミナー 講演くらしの中で「価値」を見つめる 「価値」は、主観的である 今日は「価値」について、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。みなさんはスターバックスに行ったことはあるでしょうか。そのファッショナブルな店構えや他店にないくつろぎの空間、店員の愛想の良さなど、人によって様々な価値を見出してそこへ行きます。 それはコーヒーというモノだけではなく、スターバックスでの「経験」を買い求めているということなのです。そこに見出す価値は一人ひとり異なっており、とても主観的です。私たちが暮らしの中で消費する価値というのはとても個人的で、個別的なのです。 他人の価値作りを サポートする「サービス」 皆さんが海に遊びに行くとき、ビーチについて調べたり必要な物を準備したりして、楽しい海での思い出を充実させようとします。私たちは、自分がどんな経験をしたいかという観点から、情報や商品などの資源を集めて価値を創出しています。 このような消費者の価値作りをサポートして金銭などの対価を受け取ることを、ビジネスの世界では「サービス」と呼びます。接客や飲食店などのいわゆる「サービス業」のように、サービスを受ける人と提供する人が同じ場所・時間にあるのがサービスの基本的な形です。 しかし、それだけではありません。Theodore Levittというマーケティング学者は、「工具のドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく壁の穴である」と言いました。消費者が穴をあけるという価値を得るためにドリルが仲立ちになって能力を提供する、これも間接的なサービスだということです。 消費の対象はモノの 「先」へ このような考えから生まれたのが、2004年にハワイ大学のStephen L. Vargo教授とアリゾナ大学のRobert F. Lusch教授が提唱した「サービス・ドミナント・ロジック」という理論です。これは、事業や製品の考案にあたり、モノとサービスを分けて考えるのではなく、モノを手段としてどのようなサービスを消費者に提供できるかという観点からすべてを捉える考え方です(図)。 この考え方は、現代のビジネスにおいて非常に重要になってきています。いまや消費者は、「モノそのもの」ではなく「モノを使って何をするか」という、モノを通じた価値創造を考えて消費をしているからです。 価値とは品質のこと だけではない 今までは多くの企業で、製品の品質が価値を作ると考えられていました。品質ももちろん大切です。しかし、そればかりではなく、消費者が製品によってどんな価値を得ようとしているのかを理解し、その価値の向上に貢献することが重要です。品質のみが価値を作ると思っていた、これまでの考えは変えなければなりません。 作り手側の発想から使う側の発想へとスタンスを変えるこの考え方は、将来皆さんが社会に出て仕事に就いたときも、研究をするときにもきっと役に立つでしょう。岡田浩一氏による講演は、奨学生との活発な議論をもとに進められました。36

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