IKUEI NEWS vol72
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読売日本交響楽団の本公演の様子。©読売日本交響楽団取材後に演奏会を控えていた、ワーグナー作「トリスタンとイゾルデ」の楽譜。楽曲全体を理解するため個人的に購入したもの。たことをはっきりと覚えています。オーケストラの一員になることを決断した瞬間でした」。 高校から大学時代にかけて組んでいたカルテットでは、瀧村さんは主旋律として音の華やかさが求められる第1ヴァイオリンを担当。全体を把握し支えとなる第2ヴァイオリンの経験はありませんでした。しかし、アバド氏の演奏会で第2ヴァイオリンに魅了され、それに挑戦することを決めました。 数あるオーケストラの中から瀧村さんが選んだのは、大学4年生のときに共演した読売日本交響楽団でした。 「明るくて良い音がするオーケストラで、一緒に弾いてとても楽しく、それが印象に残っていました。留学が終わって日本へ帰る時期に、ちょうど第2ヴァイオリン首席奏者の募集があることを知り、申し込みました。今思うと絶妙なタイミングでしたね」。 導かれるようにしてオーディションを受け合格。テスト期間を経て今年正式に入団を果たした瀧村さん。20代の女性が首席奏者に選ばれることは、オーケストラではとても珍しいことです。瀧村さんはリーダーでありながらセクション内では最年少という難しいポジションを務めています。 「最初は、主導して演奏しなければならないことに、不安を感じていました。例えば、演奏が途中で狂ってしまった時に、立て直す合図を出して導くのも首席の役目です。首席奏者は大変ですが、周りのみなさんがサポートしてくれるおかげで、今では本当に楽しく演奏できています」。お客さんにかけがえのない時間をそのために勉強あるのみ 演奏会には、年配のご夫婦や親子連れなどいろいろな人たちが来ます。演奏のとき、どんな人がお客さんであっても意識していることがあるそうです。 「大学時代、先生に〝絵本を読むように弾いてごらん〞と教えられてから、語りかけるように弾くことを心がけています。速く駆け抜けるように演奏した方が簡単ではあります。しかし、一つひとつ噛み締めて意味を持たせるように、丁寧に弾いていくことで音楽は伝わり易くなると考えています。そして私たちの演奏が、お客さん一人ひとりにとって特別な時間になってほしい。純粋に楽しんで、また来たいなと思ってほしいです」。 クラシックを、もっと若い世代にも聴きにきてほしい、と瀧村さんは言います。 「生で聴く音楽は響きが違いますし、音楽には共感できる部分がたくさんあります。学生さんにも、映画鑑賞や読書と同じような感覚で聴きに来てほしいです」。 オーケストラに入団してから、テスト期間を含めてもまだ2年目。オーケストラの一員としてますます活躍するために、「次々に勉強して、どんどん吸収している最中」だと瀧村さんは話します。 「とにかく早くオーケストラに慣れて、第2ヴァイオリンの首席として責任を持った演奏ができるようになるのが第一の目標です。何年か後には、オーケストラだけではなく今日のような室内楽のコンサートを自分で開けたら良いなと思っています。そして、10年くらい経験を積んだら、今度は若い人に教えられるようになりたいです。そのために、これからも必死で勉強していきます」。協力:横浜みなとみらいホール32

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