IKUEI NEWS vol72
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※学士力:文部科学省が提唱している、大学卒業までに学生が最低限身につけるべき能力のこと。チュートリアルセッション 2015大学でも社会でも必要とされる、「自ら行動し、他者を巻き込む力」を育成するリーダーシップ開発学立教大学 経営学部 助教  舘野 泰一「リーダーシップ開発学」誕生の背景 リーダーシップ開発学とは「どうすれば効果的にリーダーシップを開発できるか」を考える学問です。リーダーシップに関する研究は20世紀初頭から数多く行われてきましたが、それらの研究の多くは「リーダーシップという現象を明らかにすること」に主眼をおいたものでした。開発という視点に立った研究は歴史が浅く、今後発展していく分野であるといえます。研究の歴史が浅い背景としては、元々リーダーシップを生来の性質として捉えようとするアプローチがメインだったことや、リーダーシップ開発を行うための要因が複雑であり、効果の検証が難しかったという点が挙げられます。企業・大学からの需要が高まるリーダーシップ開発の方法論 近年リーダーシップ開発学が必要とされてきた背景には社会的ニーズが大きく影響しています。まず企業の視点に立つと、企業を取り巻く環境の変化が激しくなり、管理職だけではなく、社員全員がリーダーシップを持つ必要性が高まってきました。特に若年層に対するリーダーシップ開発の必要性は高まってきていますが、開発のための具体的な手法は明らかになっているとは言えません。そうした理由から大学教育におけるリーダーシップ開発に注目が集まっていると言えます。また、大学の視点に立つと、例えば「学士力(※)」などの中でも、リーダーシップは取り上げられており、育成すべき能力として注目されています。以上のような背景から、効果的なリーダーシップの開発の方法論が求められています。大学での学びから就職後の仕事まで期待されるリーダーシップ開発の効果 リーダーシップ開発学の発展は、大学におけるリーダーシップ開発を直接的、間接的な目標とした授業の質向上につながります。効果的に学生のリーダーシップ開発ができれば、就業してからも他者と協働して成果を生み出すことができる学生を育成することが期待できます。さらに、リーダーシップを身につけることは、大学における学びを深めることにもつながります。近年の大学教育では、PBL(Project -Based Learning)等、他者と共に学ぶ機会が増えてきています。こうした機会において、自らが率先して行動をし、他者を巻き込むといったリーダーシップに関する行動ができれば学びの質は向上するでしょう。このように、リーダーシップを学ぶことは、大学での学びを深め、卒業後に活躍する上でも重要なものであるといえます。学問として確立するために実践と学際的研究を 現在大学教育において、リーダーシップ開発に関する実践は少しずつ行われてきていますが、その開発・評価の手法が確立されているとは言えません。まずは、実践事例を増やし、実践とリーダーシップ理論との接合、そして実践データの取得・分析を行い、報告を行っていくことが重要であると考えます。リーダーシップ開発学を発展させるためには、大学教育だけでなく、経営学、心理学、教育学などさまざまな領域の研究者が集まり、学際的に研究を行っていくことが不可欠です。今後は、多くの分野の研究者が情報交換できるプラットフォームを作りながら、研究を進めていくことが必要になると思います。2030

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