IKUEI NEWS vol72
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ピースセッション1・2の後は、ファシリテータを務めた村上先生・中原先生が、それぞれの担当セッションの要旨を参加者にシェアしました。大学生研究フォーラム 2015インテグレーションセッション京都外国語大学 マルチメディア教育研究センター 教授村上 正行 私の担当セッション(ピースセッション1-1、2-1)でご登壇いただいた先生方が揃って主張されていたのは、プロジェクト学習に関わる全ての人は当事者であれ、ということです。学生に当事者意識を持ちなさいと言うだけでなく、まずは大学の教職員がお手本を示す必要があります。ご協力いただく企業・地域の方々も同様です。 お互いが当事者としてプロジェクトに関わっていれば、多様な背景を持つ人たちと議論していく際に、真剣に相手の立場を考えられるようになります。大学の人だから、企業の人だから、きっとこう考えているだろう、という勝手なイメージで決めつけず、相手の立場をきちんと理解しながらプロジェクト学習を進めていくことが重要です。そのためには、プロジェクトに関わる人すべてに当事者意識が必要なのです。 その当事者意識を喚起するのが、それぞれのコミュニティへの愛着だと考えています。本日ご登壇いただいた先生方は、いろいろな形で大学や企業、地域への愛着を持っていたように思います。教員が自分の大学に愛着や誇りを持っていないのに、学生だけがそれを持てるはずがありません。 本日お越しの皆さまにも、プロジェクト学習を他人ごととせず、当事者意識を持って議論を続けていただければと思います。東京大学 大学総合教育研究センター 准教授中原 淳 私がファシリテータを務めたピースセッション1-2、2-2は、大学から企業へのトランジションがテーマでした。2つのピースセッションでは、学生が大学生である間に学べる能力と、企業で必要となる能力の差をいかに埋めるか、という課題に対するいくつかの解決法が提示されていました。 かつてこの差は、企業の人材開発で埋めるものだと考えられていました。しかし、仕事が大規模化・複雑化・スピード化する中で差が広がり、企業の人材開発だけでは対応しきれなくなってきています。そこで、この差を解消するための施策として、大学側は学生の社会的なスキルを伸ばすためにPBL(Project-Based Learning)を活用し、企業側は伸びしろのある学生を採用するようになってきたというのが、ご登壇いただいた先生方の主張だったと思います。 今後、ますます仕事は高度化し、学生の実際の能力と企業が求める能力の差は広がっていきます。そんな中で大学は、職業訓練校にならずにどこまで学生の社会的なスキルを伸ばすのか、という大きな課題を抱えるようになると思います。私見ですが、物事に対する批判的思考力を身につけさせ、理論と実践の往還で学問をさせるという大学の存在意義だけは失ってはいけないと考えています。自らのコミュニティに愛着を持ち、当事者としてプロジェクト学習を捉えよう大学は、存在意義を失わずにどこまで学生の社会的なスキルを伸ばすか17

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