IKUEI NEWS vol72
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服部先生に伺います。「大学は社会が求める能力を育てられていない」と考えている企業が多いようですが、多くの企業で採用試験を受けるための基準が大学卒業以上なのはなぜでしょうか。服部 企業が採用のときに見ているのは、いまその学生にどのような能力があるかではなく、仕事を通じて学び、将来的に色々な仕事を着実にできるようになるかという、「訓練可能性」です。そのような曖昧な能力を見抜くための明確な基準はありません。そこで、大学を卒業していれば訓練可能性を持っているという「仮説」をもとに、大学卒業以上という採用基準を設けているのです。もちろんその説が妥当かどうかは分かりません。大学生研究フォーラム 2015ピースセッション2‐2の後半では、前半の講演を踏まえ、服部先生、見舘先生、三幸製菓の平松しのぶ氏、九州インターンシップ推進協議会の安田麻季代氏、ファシリテータの中原先生の5名で、最近の新卒採用の変化、そしてこれからの新卒採用について座談会が行われました。中原 皆さんは最近の新卒採用についてどのような変化を感じていますか。安田 2016年採用での大企業の新たな採用動向を見て、中小企業や九州をはじめとする地方の企業はどうしたらいいのか分からず悩んでいます。服部 中小企業が連携して、人事機能を共有するのはどうでしょう。東京のベンチャー企業では実際に行われています。見舘 採用パターンが次々に変わるので、この時期にエントリーシートの練習、次に面接の練習という判で押した就活対策は厳しくなってきています。学生が色々なタイミングで就活を始めるので、対応に苦労しています。中原 就活が大学4年生のある時期だけでなく、大学4年間を通じた活動になってきています。一方で企業の採用担当者も、一年中採用のことを考えなくてはいけなくなっています。服部 その負担を軽減するために、社員全員が採用を担当したり、リクルーターを増やしたりする企業が出てきています。平松 私どもの会社では、自社基準の人材要件を設定し、その要件に基づいて選抜しています。その代わりに、いわゆるコミュニケーション能力は変わりやすい能力として考え、採用基準には入れていません。必要であれば、入社後の研修で身につけさせています。採用担当・関係者座談会 新卒採用のパースペクティブ中原 今後の新卒採用についてはいかがでしょうか。服部 新卒採用の変化については、学生の採用の動きがますます見えにくくなっていくと思います。就活ナビサイトのデータだけでなく、大学側が学生一人ひとりの就活状況を追いかけていかないと、トレンドを追うことができなくなるでしょう。安田 6月末に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」でも、大学等でのインターンシップを推進する記述があったように、インターンシップへのニーズがさらに高まると思います。既に当協議会には、地元企業だけでなく東京・大阪の企業からも「九州でインターンシップを実施したい」という問い合わせが来ています。見舘 理工系の大学院のように、人文社会系の大学も今後、まるで指定校のように大学ごとのインターンシップの枠が決められ、そこからの採用が本格化する可能性があります。インターンシップを通した就職活動は、「何がやりたいのか」に悩む学生、そして学業への負担も減って個人的には良いと思いますが、すべての大学が就職のための学校ではないので、そのバランスが難しいと思います。平松 学生を集めづらい企業としては、自社の立ち位置をよく考えて、採用をどうやって設計していくのかをより真剣に考えていく必要が出てくると思います。答応質疑ピースセッション2-2Q見舘好隆 先生安田麻季代 氏平松しのぶ 氏中原淳 先生16

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