IKUEI NEWS vol72
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中村先生に質問です。隠岐島前高等学校の取り組みは、大学のPBLよりレベルが高いのではないかと思いますが、中村先生が大学に求める役割はどのようなものでしょうか。中村 PBL型の学習は、高校までで止まってしまっては、あまり意味がないと考えています。ぜひ、大学には高校での体験を続けていける場であってほしいと思います。そのためにも、大学でのPBL型学習は、この先もっと充実させていくべきだと思います。一方で、知識がなければ思考することはできないですし、新しいアイデアも生まれません。そのため、従来型の講義で、知識を学ぶことも大切です。両方のバランスを持って、主体的に生きる力を持った学生の育成に取り組んでいただきたいです。大学生研究フォーラム 2015廃校の危機に瀕して立ち上げられた「地域協働型カリキュラム」 私の勤務している隠岐島でも少子高齢化・過疎化は深刻な問題で、当校は数年前、廃校の危機に立たされました。 その状況を打開するため、当校の教育は何を目指すべきかを考えました。その結果、生徒の「主体的に生きる力」を育成しつつ、「地域で生業・事業・産業を創り出せる人材」を育成する教育プログラムである「地域協働型カリキュラム」を創設しました。 これは、「夢探究」、「地域学」、「島留学」の3つの柱から成ります。「夢探究」では、まず生活を支えている「社会」の仕組みを学び、その後、自分の価値観や得手不得手を掘り下げ、「自分」を知ります。その上で、自分が社会にどのように関わりたいか、ビジョンを描くことで、キャリア形成意識の育成を図ります。 「地域学」では、島前の自然や歴史、文化、産業などを、地域住民やフィールドワークから学び、そこから地域の課題を見つけます。そして、課題に対する取り組みや問題点、住民の想いを調べて解決策を考え、それをプレゼンテーションして地域住民の共感を得た上で、実践に移します。これにより、課題発見解決力と主体的に行動する力を身に付けます。多様性を学校に取り入れ新たな価値観・人間関係を生む「島留学」 「島留学」では、全国から生徒を募集することで生徒の多様化を図りました。島内で育った生徒だけでは価値観の偏りや人間関係の固定化という問題点があったからです。現在は、新入生の4割強が島外から来ています。多様性を取り入れたことで、新たな価値観・人間関係が生まれ、多文化協働力の育成が活性化しました。 また、当校はさらなるチャレンジとして「グローカル人材の育成」を目標に、昨年からシンガポール研修旅行をスタートしました。グローカル人材とは、たとえば海外の少子高齢化対策の成功例を隠岐島にどのように応用するか、というような「グローバルな視点」で「ローカルな課題」を解決できる、「文化的バイリンガル」のことです(図)。シンガポール国立大学の学生は、マレーシア地域の未来を切り拓くグローカル教育プロジェクト島根県立隠岐島前高等学校SGH(スーパーグローバルハイスクール)推進担当中村 怜詞やインドネシアに出向いて課題解決に取り組んでいます。その学生に当校の生徒が取り組む課題解決提案を聞いてもらい、グローバルな視点から見た問題点を学ばせたいと考えています。 まだ当校の取り組みはスタートしたばかりですが、卒業生の中には「将来は隠岐島に戻って地域貢献したい」という声もあります。今後もプロジェクトを通し、進学した先で何を学び、将来は何を実践して何を実現したいのか、というビジョンを持って生きる生徒を育成していきたいと思います。答応質疑ピースセッション2-1Q(図)文化的バイリンガルの考え方両者を理解し、活用できる能力を持つ文化的バイリンガルグローバルな考え方ローカルな考え方● 対立・競争・所有● 勝ち負け・win-win● 古きを壊し、新しきを創る● 早い・安い・便利● 効率・能率● 分析・区分● 直線・伸長・拡大● 新規・流行● 上をめざし空高く飛ぶ● 協働・共創・共有● 三方よし● 古きを活かし、新しきに繋ぐ● 安全・安心・健康● 無用の用● 統合・和合● 螺旋・循環・再帰● 不易・伝統● 地に足をつけ深く根を張るどうぜんどうぜん14

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