IKUEI NEWS vol72
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人が人を呼び、若者が増える徳島県神山町 私は地域経済を専門に、高齢化や人口減少が深刻化している地域を維持するための「地域創生」を研究しています。 過疎化する地域では教育の場・雇用の場が不足しています。そのため、若者は進学の際に地元を離れ、将来は地元に戻りたいという想いがあっても、雇用が無いために戻れないのです。 しかし、物質的な豊かさではなく、交流・文化・健康などの豊かさを追求し、働き方を変える若者がいます。そこに注目し、独自の取り組みで若者の定住に成功したのが、徳島県神山町です。 いま、神山町では多くの若者が古民家を改装したオフィスで働き、暮らしています。これはNPO法人グリーンバレーによるサテライトオフィスの設立が始まりでした。IT化が進んだ現代では、インターネット環境さえ整っていれば場所を選ばない業種が多くあります。そこで、満員電車など都心のストレスから解放され、自然に囲まれた環境で自由に仕事ができる場所を用意したのです。 それがIT業界で話題となり、人が人を呼ぶ形でWebデザイナー、映像クリエイターなども仕事場を神山町に移しました。さらに、定住した人をターゲットにしたカフェやレストラン、歯科医院などが、衰退した商店街をリノベーションして開業し、街づくりのムーブメントが起こっています。変わる若者のキャリア志向大学教育はどうあるべきか もう1つの例に、島根県邑南町の政策があります。ここは「過疎」という言葉が生まれた土地で、人口増加が行政の急務でした。 そこで、「食」に注目した「A級グルメのまち」という産業振興プロジェクトを立ち上げました。本当に美味しいものは都心のレストランではなく産地にある、という魅力を押し出した結果、50年間人口減少が続いた地域に、2011年〜14年の間で128人が定住しました。 その中に、私のゼミに所属していた学生がいます。彼は自己紹介の時から「自分は生まれた地域に育てられたから、起業して地域貢献したい」という夢をはっきりとこれまでの地域開発の研究から学校の地域連携事業がどう見えるか?ピースセッション2では、「地域と学校教育との接点」、「揺れる社会への入口」という2つのテーマで分科会が行われました。登壇者による講演や座談会、質疑応答を通じて、それぞれのテーマについて議論を深めました。大学生研究フォーラム 2015ファシリテータ 村上 正行地域と学校教育との接点ピースセッション2-1大阪市立大学大学院創造都市研究科准教授松永 桂子語り、18歳で起業しました。そして、ゼミで販路開拓するなど事業化を進め、現在は日本一高い牛乳を町の特産品として売り出しています。 豊かさの形が変化する中、このように新しい発想をする若者は確実に出てきています。「所得は少なくても自分らしい暮らしをしたい」、あるいは「起業して社会貢献したい」という、新しいキャリア志向が形成されているのです。 それに対し、どのような形で彼らを後押しし、支えることができるのか。そこが、これからの大学教育を考える上で重要になるのだと思います。ピースセッション2おおなんかみやま13

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