IKUEI NEWS vol72
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※FD(ファカルティ・ディベロップメント):大学教員の教育能力を高めるための実践的方法。教員が当事者としてプロジェクトを動かす 4月になると、学生がプロジェクトを選ぶために、教員がオープンスペースで自らのテーマをプレゼンします。この時の教員は真剣です。たくさんの学生が希望すれば、面談で優秀な学生を選ぶことができるからです。希望者が少なければあまり積極的でない学生も採ることになりますし、全くいなければそのテーマはなくなり、教員は他のテーマに合流します。 このプレゼンも含め、教員が「当事者として動かす」ことが、プロジェクト学習の成功のカギだと私は考えています。教員は自分のプロジェクトを持ちつつ、プロジェクト学習全体の仕組みを考えるワーキンググループにも関わることで、個々のプロジェクトへの要望や改善点を思いつく当事者であり、それをまとめる責任者にもなります。このような立場に教員がいることで、FD(※)の研修会をすることなく、日常業務の中で授業をより良くする方法を自ら考え、学んでいます。 このプロジェクト学習の成果でよく教員から指摘されるのが、学生の顔つきや態度の変化です。4月頃、グループに配属されてプロジェクトにやってきた時と、11〜12月にかけて、最終報告会に向けて奮闘する時の顔つきでは、見違えるほどしっかりすると多くの教員が感じています。通常の講義では一番後ろに座ってつまらなそうにしていた学生が、プロジェクトを能動的に引っ張るリーダーになることもあります。現存しない職業に就き、 21世紀を生き抜くためのスキル 昨年、オックスフォード大学の人工知能研究者であるオズボーン准教授が発表した、「消える職業、なくなる仕事」という報告が話題になりました。これからデジタル化が進む中で、いま当たり前にある職業が消えていくという内容です。他にも、オーストラリアの統計調査に、これから小学校に入学する子どもの65%は、まだ存在していない職業に就くという報告もあります。したがって、情報化によって生まれる新しい職業に適した、新たな教育が必要とされているのです。 そこで、現存しない職業への準備に必要なのが「21世紀型スキル」です。これは、世界の21世紀を生きるすべての子どもたちにとって必要な、4つにカテゴリ分けされたスキルです(右表)。本学のプロジェクト学習には、21世紀型スキルを育む要素がたくさん入っています。異文化を理解し、困難な状況を乗り越える新たなリーダーシップ 21世紀型スキルに関連して、昨今の人材育成のキーワードである、「グローバル」、「レジリエンス」21世紀型スキル❶ Ways of Thinking 【思考の方法】● 創造力とイノベーション(革新的な考え)● 批判的思考、問題解決、意思決定● 学習方略、メタ認知(認知過程に関する知識)❹ Ways of Living in the World 【世界の中での生き方】● 地域社会と国際社会での市民性● 人生とキャリア設計● 個人的責任と社会的責任❷ Tools for Working 【仕事のための道具】● 情報リテラシー(情報を読み解く力)● 情報通信技術リテラシー(技術を使いこなす力)❸ Ways for Working 【仕事の仕方】● コミュニケーション● コラボレーション(チームワーク)国際団体「21世紀型スキルの学びと評価プロジェクト」の定義より。大学生研究フォーラム 20157

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