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的に関わる取り組みはともかく、レストラン化した学食のサービスを受けるばかりでは学びに繋がりませんし、社会人になってからの反動も考えられます。 過剰サービスだと指摘される昨今の事例では、隣の人から見えないように仕切りで囲った席、いわゆる〝ぼっち席〞を導入する学食が増えてきています。最近の学生は、一人で食事を取っているところを知り合いに見られたくないという気持ちが強い傾向にあり、それに対応する形で設置が進められています。かつて学食では、知らない先輩に声をかけられて、そこからコミュニティが作られるという光景が見られました。他者と一緒にご飯を食べながらコミュニケーションを行う「憩いの場」としての学食の機能は、徐々に失われつつあります。 一方で、学食でのコミュニケーションを復活させる試みも散見されます。例えば大正大学では、教員と学生が、学食で昼食を共にする「先生とランチ」という企画が行われました。また、立命館大学のカフェには20人前を超える巨大スイーツがあり、4000円を超える価格から必然的に学生が割り勘で購入し、高い割合を留学生が占めているそうです。最近は、中国・韓国・台湾などアジアからの留学生が増えてきています。この留学生増加の流れは、2020年の東京オリンピック開催に向けてさらに加速していくと考えられます。 学食では、出身地の料理を限定メニューで提供するなど、少しずつ食の面から留学生の学生生活を支えるようになってきています。宗教によっては、学食に自分たちの食べられるメニューがあるかどうかは重要ですから、大学としては差別化の観点の一つになり得ます。 さらに、社会人やリタイア世代の再勉強組、いわゆる「リカレント」の学生たちの増加も目立つようになってきました。50・60代で働きながら大学院に通ったり、定年退職して大学に入ったりする人が増えれば、学食のマーケットが広がり、より幅広いメニューの提供が必要になっていくでしょう。「食を共にする」ことで生まれるコミュニケーション これまで述べてきた学食の進化について、「過剰サービスではないか」という声があるのも事実です。学生が主体スプーンでつついて食べながらコミュニケーションをとる姿が見られます。学食をうまく活用し、より良い学生生活を送ろう 学食の上手な使い方は、偏食を避け、できるだけ色々なメニューを食べてみるということです。最近の学食はメニューが豊富なので、普段食べないものを選ぶほか、小鉢を活用すれば栄養のバランスがとれます。今はほとんどのメニューにカロリーや摂取できる栄養素が表記されていますから、それを活用するのも良いでしょう。また、土曜日に営業している学食であれば、昼食を食べて、そのあと図書館で勉強することで、自炊をするよりも時間に余裕ができます。 コンビニ食などに比べて健康的な食事を、自分で料理する手間なく食べることができる。これが、学食の最大のメリットです。学食での食事を勉強や就職活動、健康な体作りに生かすのはもちろん、今後はナイフとフォークの使い方やテーブルマナーを覚えたり、先生との会話で敬語の使い方を練習したりする場として、より積極的に学食を活用してくれることを期待しています。1968年、広島県生まれ。東京書籍、ベネッセコーポレーション勤務を経て、現在日本大学芸術学部・明治学院大学等で就職対策講座の講師を務める。着任より学食に興味を持ち始め、全国の学食を巡りメディアでその魅力を発信。著書に『学生でなくても食べに行ける!安くておいしい学生食堂』(監修・PHPエディターズ・グループ刊)がある。また、ファミマ・ドット・コムと提携し、「青学カレー」「龍谷カレー」「共立女子カレー」「日芸カレー」の商品プロデュースを行う。唐沢 明(からさわ あきら)6

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