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女子大生の増加が促した「食堂」の「レストラン化」 私は大学卒業後、大手教科書会社と大手通信教育会社勤務を経て、現在はさまざまな大学で就職講座の講師をしています。学食の研究を始めたきっかけは、10年ぐらい前に私が大学講師を始めて色々な大学に通い始めた頃、「大学にカラーがあるように、学食にもカラーが出始めてきている」と気づいたことです。自分の大学生時代の学食と何かが変わっていると思い立ち、学食の研究を始めました。2006年にその成果として、『学食ガイド 全国60大学人気メニュー』という本を出しました。しかし当時、多くの大学は、「大学は勉強をするところだ」という考えからか、学食を売りにすることに消極的でした。 確かに大学は勉強をする場所です。しかし、勉強には健康な体が必要であり、毎日の食事はその体作りを支える大切なものです。大学全入時代になったことで学生数は増加し、考え方が多様化しました。特に女子学生が増えたことで、勉強をはかどらせるには「おいしくて安くてヘルシーなもの」が欠かせないという考えが大学に広まりました。そして価格やメニューだけでなく、味やオシャレな設備にも力を入れるようになり、学食は「量」から「質」へ、「食堂」から「レストラン」へと変化しました。この「学食革命」とでも言うべき現象は、今後さらに進んでいくことが予想されます。大学の重要な魅力の一つとなった学食 2018年頃から大学進学者が減っていく、いわゆる「2018年問題」が3年後に迫っています。そこで、大学は今のうちから魅力を高めようと躍起になっています。 これまで大学の魅力として重視されてきたのは、入口の偏差値と出口の就職率でした。そして新たに、在学中の学生生活の魅力として位置づけられているのが、学食です。近年のオープンキャンパスの浸透により、高校生が学食を食べる機会が増えてきたため、学生獲得のアピール要素の一つとなりました。かつては学食をアピールすることに対して消極的だった大学でも、他大学に追随する形で、一転して学食に力を入れ始めています。 現在の学食は、ワンコインでおいしいものが食べられるレストランとして、大学の魅力の一つになったと言えます。また、価格や味だけでなく、学生によるランチの考案や食堂の経営など、実学としての「食の学び」と学食を結びつける大学も出てきています。さらに、学生発案の社会貢献活動として、東日本大震災の被災地である福島の野菜を使ったメニューを提供し、復興支援に繋げているところもあります。学食でも進む多様化する学生への対応 大学のキャンパスを歩いていると、昔に比べて留学生とすれ違う機会が多くなりました。都内にある某難関私立大学の文系の大学院は、在籍者のかなり学食研究家 唐沢 明「学食革命」が始まっている5

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