vol71
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異空間でいただくお茶は、本当においしいんですよ(笑)」。 最後に、伊藤さんに今後のお仕事での目標について伺いました。 「花王製品のスタンダードになるような技術シーズを見つけることが夢です。とはいえ、大きな発見はなかなかできるものではないので、一つ一つの過程を楽しみながら、小さくても世界で最初の発見を積み重ねていきたいと思っています。会社と社会の双方に貢献できるような研究を続けていきたいです」。ば分かりません。伊藤さんは、そこが「苦労でもあり、やりがいでもある」と話します。 「実験をやってみて、思ったとおりのデータが得られればもちろん嬉しいですし、もし違う結果になったとしても、何故そうなったのか原因を突き詰め、ひとつずつ解明していく過程も面白いと思います。また、新しい発見に繋がるようなデータが得られると、それまでやってきた全てが報われたような達成感を得ることができます。これが、研究をやめられない理由かもしれません」。研究だけに没頭せず、広い視野を持つ 伊藤さんは学生時代に比べ、「視野が広くなった」と話します。 「研究では一つのことを突き詰めていくので、意識して外に目を向けないと、周りが見えない人間になってしまいます。学生時代は自分が楽しく研究できていれば良いと思っていましたが、花王は多くの人に価値ある製品を提供している企業です。自分の仕事を通じて社会に貢献していくためにも、外に目を向けることが必要だと思っています」。 家族や知人などの周囲の人に、生活の中で気になることや困ったことをリサーチし、研究テーマのヒントを探すこともあるといいます。 伊藤さんは、社会人になってから茶道を始めました。 「茶道を選んだのは、日本人に生まれたからには日本文化に触れてみよう、という軽い気持ちからでした。けれど、やってみると面白く、自分にも合っていたようです。所作の一つ一つや扱うお釜やお茶碗、飾られているお花や掛け軸、お茶菓子にもきちんとしたいわれがあり、それを知っていく過程が、研究の面白さに似ているのかもしれません。茶室に座り、おごそかな雰囲気の中で行われるお稽古は、ややもすれば堅苦しく感じる方もいるかもしれませんが、日常では感じることのない花王の「アタックNeo抗菌EX Wパワー」は、ニオイ菌を抑えて衣類を消臭できる洗剤。微生物に関する基盤研究が製品開発に繋がった事例です。和歌山研究所から異動する際、花王の茶道部の先輩から貰った茶道具。研究所内の製品展示スペースにて。「5年後には、自分の研究が関わる製品がここに並ぶかもしれません」。28

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