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学業と健康の基盤になる朝食 青少年期の若者にとって重要な課題は、心身の健全な発展を促す生活習慣の探求である。結論から言えば、栄養学的に適正な朝食を規則正しく摂取すれば、他の条件に比較して学業のみでなく体力や日常の活動力が高まる。筆者が体験した米国のエリート高校の寮やアイビーリーグの学生寮の優れた朝食は、心身のリズムを整える、学業と健康の基盤である。学業成績には多くの因子が関わるため、同一の環境条件で、朝食摂取の有無など、生活習慣の異なる2集団を比較するか、百万人を超える集団で解析するかの方法が必要である。環境条件を整えた正確な研究は、筆者の勤務していた全寮制の自治医科大学で行われた。同じ食堂の朝食を取るか取らないかの差だけで、通学時間が5分で年齢も揃い、ほとんどの科目が必修の男子学生集団の学業成績を比較したところ、朝食摂取者が欠食者より成績順位で22番も高いことを1980年に栄養学雑誌に発表した。 その後国内外で朝食と学業成績の研究が行われたが、例年、小・中学校児童生徒各百万人の全国学力テストが行われるようになり、朝食摂取状況との関係が発表されている(図1)。国語、社会、算数、理科のどの科目・学年についても、全く、あるいはほとんど取らない児童・生徒の成績は、必ず取る児童・生徒と較べて低く、最大で約2割もの成績の差が見られた。これは、一つひとつの科目に対して右脳や左脳の関与が異なっても、脳全体の基本的な活動度が、朝食によって活性化されることを示す。これはその後、パンに卵がついて、ハムやベーコンなどのお肉、サラダ、ミルクやジュースなど、栄養バランスの取れたアメリカンブレックファーストのような朝食でなければ効果が薄く、菓子パンやオニギリだけの朝食は学業成績を向上させないことが確かめられた。日本の高校生が陥る朝食欠食の悪循環 脳の健全な発達には体力の向上も重要であることが最近の多くの研究で立証されたが、事実、朝食摂取率の最も高い秋田県や福井県の学童・朝食を食べれば成績が上がる寄稿●2栄養バランスを考えた品数の多い朝食を取り、学業成績の向上に繋げよう香川 靖雄女子栄養大学 副学長未来の日本を背負う世代の貧しい朝食習慣が、学力の低下を招いている。朝食の品数が多いほど、脳の活動は活性化し、学業成績は高まる。500小5(得点)必ずとる480460440420国語図1 朝食摂取と成績の相関(全国学力試験)国立教育科学研究所調査(文部科学省、平成16年)中2小5社会中2小5算数中2小5理科中2中2英語右脳活動左脳活動右脳左脳機能に共通の脳活性化があるたいていとるとらないことが多いまったく、または、ほとんどとらない学食は食育の場である明日への視点自分を育てる学生生活の過ごし方149

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