IKUEI NEWS_69
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アクティブラーニングの長所と短所 アクティブラーニングは、先生が教壇から一方的に講義を行うのではなく、さまざまな角度から学生の好きな分野を伸ばす授業法で、1991年ごろアメリカで始まりました。学生の「何ができるか」を尊重するアメリカの大学らしい環境の中で生まれた方法です。アクティブラーニングを実践している学生は、自分の長所を理解して活躍できるので、生き生きとしています。 とはいえ、手放しで称賛できない点もあります。アクティブラーニングは一般的な講義形式の授業に比べ、アセスメント、すなわち「改善を促す」評価が難しいのです。ここでは、一般的な評価ではなく、改善を促すという観点が重要になります。 世界的なFDの実践者であるディー・フィンク博士は、授業のアセスメントには「時代遅れのアセスメント」と「将来を考えたアセスメント」の2つがあると言っています。現在、日本の大学の授業で一般的なのは、時代遅れのアセスメントです。これは、14週にわたり、学生に〝ABC〞という概念について教え、「14週でABCをどのくらい学びましたか」という暗記型の試験を出し、それを評価する方法です。先生・学生双方にとって評価が分かりやすいやり方です。 一方、アクティブラーニング型授業等で用いられる将来を考えたアセスメントでは、「現在起きている社会的な問題にABCをどう応用しますか」という問いについて自由な回答を求め、アセスメントします。学生の成長につながる高度なやり方なのですが、自由な回答をどうアセスメントするかが悩みのタネです。日本では、基準が無い評価は「客観性に欠ける」として受容されにくい。しかし、アクティブラーニングのアセスメントは絶対値にならざるを得ません。アクティブラーニングを進める上で、ここに一つの壁があります。定型のない「アクティブラーニング」 アクティブラーニングは非常にファジーで、「これがアクティブラーニングである」という定型はありません。一般的には「能動的学修」と訳されますが、「主体的学び」と言われることもあります。したがって、大学がアクティブラーニングを実践するにあたっては、それぞれの大学がどのような形でアクティブラーニングを実施していくか、その定義を明確にする必要があります。 帝京大学では、「スチューデント・エンゲージメント」という定義を用いています。学生が学内外を問わず何かにエンゲージする。教育でも社会貢献でも、学生によるエンゲージメントをアクティブラーニングと定めています。授業が変わるきっかけを作るSCOT 本学には、スチューデント・エンゲージメントを象徴するSCOT(スコット)という制度があります。スチューデンツ・コンサルティング・オン・ティーチング、すなわち、「学生による授業コンサルティング」です。本校の高等教育開発センターで半年間トレーニングを受けた学生は、授業を学生目線で観察する資格を授与されます。そして実際に授業に入り、先生の板書や話し方、学生との対話の適切さなどについて助言します。※FD(Faculty Development):教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取り組みの総称。帝京大学 高等教育開発センターセンター長/教授 土持 ゲーリー 法一アクティブラーニングが「大学生の学び」を改善する5

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