IKUEI NEWS_69
26/40

大規模大学での少人数教育の可能性を探る---------「生き抜く」学生を育てるための教育課題は何でしょうか。 大規模な大学ですから、積極的で前向きな学生がいる一方で、受け身な学生もいます。こういった学生をどうやって能動的な学生に育てるか。企業の中で力を発揮できない、自分がやるべきことに気づいていない、集団の中にうずもれてしまう、挙句の果てにその方が心地良いと思ってしまう……。そういう学生たちを底上げすることがこれからの課題だと思います。 その一つの取り組みがアクティブラーニングです。とはいえ、大学自体が教室の構造からして大規模授業用であり、一人の教員に学生が数百人という関係で成り立っています。少人数教育は理想的ですが、急に全ての授業を少人数化するのは現実的ではありません。しかし、このような制約の中でも色々な試みが既に始まっています。 社会学部ではNHKと連携して、履修登録した学生が決められたNHKの番組を自宅で見て予習するシステムを導入しました。授業は視聴を前提に議論から始まります。自分の意見を持っていかないと参加したことにならないため、ほとんどの学生が予習して授業に参加し議論を戦わせています。 このように、現在の大教室授業でも可能な方法があることが少しずつ分かってきました。いきなり少人数教育は無理ですが、大規模教室での議論型を導入しながら、アクティブラーニングの割合を増やし、積極的な学生の育成に力を入れていきます。外濠校舎の吹き抜けには、法政大学のエンブレムが掲げられています。世界のどこでも「生き抜ける」人材を育てる--------総長から学生へのメッセージに「世界のどこに行っても生きていかれるように」とあります。この意味するものは何でしょうか。 本当は「生きていく」ではなく「生き抜く」というもっと強い言葉でした。このメッセージは、「自由に生きられる」と読み替えてもいいでしょう。 先ほども触れたように「自由」とは、とても大変な行為です。組織に頼るほうが楽に働け、国に頼るほうが考えなくて済み、お金に頼るほうが生活は楽です。しかし、自由に生きるというのはそういう楽な生活ではありません。終身雇用が当たり前でなくなった日本では、就職した組織の中で必ずしも安泰ではありません。勤務先が海外であることも珍しくない時代になっています。 そのような時代に求められる資質は「リーダーシップ」です。必要とあれば、その場で色々な情報を得て学ぶ。語学も必要なら自分で学び、外国人とコミュニケーションを図る。周りを見て判断し、自分で考え、自分で決断できるリーダーシップこそが世界で生き抜いていく精神です。大学の中で受け身でない状態を作り出して、その力を鍛えなければいけないと考えています。---------では、世界で生き抜く学生を育てるための具体策についてご紹介ください。 法政大学では、海外留学に力を入れています。一般的に海外へ留学する大学生は減少しているといわれていますが、法政大学では逆に増えています。1年間の単位取得を伴う留学、短期留学、短期の海外インターンシップやボランティアなど、さまざまなタイプの留学を揃え、奨学金も出しています。国際文化学部から始めた制度が他学部に広がり、年度によっては全大学中3〜4位に入るほど、非常にたくさんの学生が海外に出ています。 日本人は非常に恵まれた生活をしています。しかし、海外に出れば日本では体験できない状況に直面します。海外の人とコミュニケーションしようとしても自分の英語が通用しない、日本人でありながら日本のことを知らない自分に気づかされる……。そういった色々な失敗の体験が、帰国後の勉強へのモチベーションを高めます。 留学だけでなく、学内での留学生との交流なども含めた「グローバル体験」の機会を、もっと学生たちに提供したいと考えています。10年後までに、100%の学生が体験している状態を作るのが目標です。23

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です