IKUEI NEWS_69
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※自己効力感:自己に対する信頼感、有能感のこと。 「高校時代、試験に○×をつける勉強が嫌いになっていました。しかし、入学して教養ゼミで『何だこれ』というような問題に頭を悩ませる経験をして、『あ、これが勉強だな』と思えました。自分の頭で考えて、分からなかったら皆と話し合って、たとえ100%の答えが出ないにしても、その問題に対してアプローチすることがすごく大事だと思っています。大学の参考書や教科書に答えが記載されていない課題であっても、自分なりに勉強して、友だちと議論した後に、教授に聞きにいくという勉強の仕方を知りました。おかげで勉強がまた好きになりました」。 また、歯学部口腔健康科学科2年生の西内彩子さんは、「知識を前提にした伝える力」の重要性に気づかされたといいます。 「授業が始まった時に、10人弱のグループに分かれました。最初は知らない人と討論なんてできないし、そもそも与えられた課題も『プロフェッショナルとは』、『医療職のあり方』など、知識がないとできないものが多くて、持ち帰って必死に自己学習に取り組みました。その場で全く討論が進まない時は先生やチューターの方が助けてくださったので、話し合いの仕方を先生方に教えられながら進めていました。そのおかげで、自分が発信する前にまず基本的な知識が大切であることに思いが至り、PBL型授業も大切ですが、逆にいつもの講義がとても大切であることを実感しました。相手に的確に伝えるには、まず自分がきちんと理解していること。そして、相手に分かってもらうためには、どう伝えるかを考えなくてはいけないことも分かりました。伝える力を身につけることができたと思っています」。文理を超えた混成グループでより多様なスキル獲得の場へ 歯学部口腔健康科学科2年生の大森さくらさんは、教養ゼミで身についたのは「責任感と批判的思考力」だといいます。 「少人数グループなので、一人にかかる責任が大きく、課題解決に向けての責任も負うことになります。責任の重さを大学1年生の前期に実感できたことは、これからの大学生活も含め、必ず将来に役立つと思います。また、与えられた課題を自分で調べていく中で、『本当にこの情報は正しいのか』と立ち止まって考えるようにもなりました。色々な背景を持つ人と協働する中で、『先生が言っているから』ではなく、きちんと自分で考え、自分以外の視点も加えて考えられる批判的思考力が身についてきたと思います」。 実際どのような効果が出ているか調査したところ、特定の事象から課題を発見して説明できる力、論拠を明らかにしたプレゼンテーション、学生の動機付け、自主的な学習態度の形成、発表力、問題発見力、論理的・批判的な思考力について、自己効力感※を持つようになった学生が増えたそうです。 小澤教授は、PBL型教養ゼミの今後について「まだ全学の半分でしか取り入れられていないが、ファシリテーターの先生方や問題提起のためのシナリオを増やすことでより浸透させていきたい」と述べ、さらなる抱負についても語ってくれました。 「今後はPBLに加え、反転授業などの導入にも取り組みたいと思います。また、来年からは、医・歯・薬学部混成の『ハーモナイゼーションPBL』を推進していこうという動きがあります。さらに文系・理系を超えた混成グループを作り、より幅広い人との関わりの中で学生たちのスキルを伸ばしていきたいと考えています」。実践事例学生を育てるアクティブラーニング型授業広島大学ではPBLファシリテーターの養成講座を実施、学外からも参加者がいます。教養ゼミの授業の様子。シナリオからキーワードを抽出し、それを視覚的に分類する「プロブレムマップ」。14

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