IKUEI NEWS_69
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 講座を終えた学生たちは、「自分の持っている知識と能力を全部出し切った」、「初めて知識を〝使ってみる〞という経験をした」と口々に言った。それらの発言は、「リアル」な企業課題に対して、大学入学段階で持ち得る知識と思考力の全てを持って向き合い、能力を出し切った様子をうかがわせた。また、彼らは、「自分に足りていない知識や能力が分かった」、「もっと勉強したい」という〝学びへの意欲の高まり〞までも口にした。そして、大学こそが答えのない課題を解決する高次思考能力獲得の場であり、更なる成長の機会が授業にあるということを理解し、その後の履修行動や授業の受け方を変えていった。 さらに特筆すべきは、受講後の学生の行動基準自体が、彼らが講座を通じて得た自身の考えや体験に基づいたものになったということだ。それは「誰かが言ったから」、「世間で言われているから」などという受け身な姿勢ではなく、「自分には欠けている知識だから」、「自分が得たいスキルだから」という主体的なものである。この姿勢の変化が、大学での学び方のみならず、サークルやアルバイトなどのあらゆる大学生活の中で、自らがどう行動すべきかを考えて実践するだろうという力強さを感じさせてくれた。 主体的な行動がもたらした「覚悟」 FSP講座での実践を続けて4年。この講座を1年生の前期に受講した学生が、2015年3月末に大学を卒業して社会の一員となる。彼らがどのように就職活動を乗り越え、自らの進路を選択したのか、昨年11月にインタビューを行った。FSP講座で「主体的」に行動した経験が、その後の彼らにどのような影響を与えたのだろうか?  インタビューに応じた学生に共通するのが、自分で考えて決めたという「自己決定感」だ。彼らは、自らの思考や体験に裏付けられた明確な理由と価値観で進路を決めていた。また、いずれの学生も、社会に出る「覚悟」を決めていた。「自分で決めた進路だから、やるしかない」、「不安もあるし失敗もするだろうけれど、本気でやりたい」という等身大の彼らの言葉。そこから我々が学んだことは、主体的な行動こそが学生の「自己決定感」につながり、彼らの「覚悟」を支えているということだ。自らの人生を自分事と捉え、状況に対して主体的に考えて対峙しようとする……まさしく、この講座が社会で求められる人材輩出のきっかけになっていたことを、5年間の活動を経て気づくことができた。 アクティブラーニング型授業は「ただ」履修するだけでは何も変わらない FSP講座では、学生自身の「気づき」を大切にしている。講座の冒頭では、履修する学生に対し、「この講座では何かを『与えてもらう』、あるいは『教えてもらう』のではなく、自分から何かを『得て』欲しい」と念を押している。これは、他のアクティブラーニング型授業でも同じことが言えるのではないか。 自分に不足しているスキルや能力を常に考えながら参加し、自分で何かをつかみ取る。このような姿勢があってこそ、アクティブラーニング型授業を履修する本当の意味があるのではないだろうか。平山 恭子(ひらやま きょうこ)1998年、㈱ベネッセコーポレーションに入社。高等学校向け事業に従事。その後グループ会社ベルリッツ・ジャパンへ出向。3年間のマネージャー職を経て2006年に帰任。グローバル人材育成のための英語アセスメント開発に5年間従事したのち、2010年7月、Future Skills Project研究会の立ち上げに参画。2014年4月、研究会組織を一般社団法人化し、事務局長に就任。産学連携講座のための教材の開発や、教員研修、講演活動など多数。FSP研究会の活動の様子は、下記ホームページでご覧いただけます。http://www.benesse.co.jp/univ/fsp/10

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