IKUEI NEWS_69
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「主体的な学び」を身につけた人間が未来を創る 「なぜ大学で学ぶのか」。こんなシンプルな問いに即答できる学生は少ないように感じる。「社会で求められているのはどのような人材か」。これを明確に理解している学生もそう多くはない。  自分に足りない知識や能力に自ら気づき、「卒業までに何を身につけるか」を考え、主体的に学ぶことができる。そんな学生を増やすことができないものか。 我々、一般社団法人Future Skills Project研究会(以下FSP研究会)は、「大学は社会で求める人材を輩出できていないのではないか」という声が根強いことを課題として、2010年7月に6企業5大学による議論の場をスタートさせた。その議論の末、「課題解決力やコミュニケーション能力なども重要だが、そのような能力を発揮するための基盤となるエンジンは『主体性』であり、これこそ大学の学びで引き出すべきものである」との結論に至った。  しかし、主体性は教えられて身につくものではない。そこで、学生が「答えのない」課題に対してゼロから考えてやり抜く体験が必要であると考え、まずは「講座」という形で実践を重ねてきた。 主体性を引き出すFSP講座とは  FSP研究会が実践する講座(以下FSP講座)では、学生が5〜7人でチームを組み、全14コマを前半と後半に分け2つの企業課題に取り組む。1つの課題に取り組む期間は5週間。最終回で課題解決策を企業にプレゼンテーションする。  一般的に、このような産学協同のPBL型授業は3・4年生の演習やゼミで導入されているケースが多い。しかし、FSP講座は原則として1年生の前期に実施している。これには、入学直後に自分に何が足りないのかという「気づき」をもたらし、大学での学びの重要性を理解させ、4年間の学びへの意欲を高める狙いがある。  また、この狙いを達成するために最も重視するのが「失敗経験」だ。FSP講座では、知識・技能の未熟な入学したての学生が企業のリアルな課題に取り組むため、ほとんどのチームが十分な成果を発揮することができない。当然企業から厳しい指摘を受け、大半の学生は落ち込んでしまう。一般的なPBL型授業はここで終わりだが、FSP講座はここからが本番である。すぐに後半の企業課題が提示されると、どのチームも前半の反省を踏まえてより深く議論し、チーム活動にも工夫が表れる。つまり、一つの講座の中で、「失敗↓内省↓概念化↓実践」という学びのサイクルが回るのだ。「気づく」ことによって生まれる「意欲の高まり」  我々が最も驚いたのは、FSP講座を履修した学生たちの見せた変化である。企業の「リアル」を知る、課題解決型授業寄稿●2「失敗経験」を伴う産学協同PBLが学生の「気づき」と主体性を引き出す平山 恭子株式会社ベネッセコーポレーション大学事業部/FSP研究会 事務局長主体性は教えられるものではなく、「答えのない」課題と立ち向かうことで身につく。アクティブラーニングで成長するためには、「自ら何かを得る」という積極的な姿勢が必要。アクティブラーニング型授業を履修する明日への視点自分を育てる学生生活の過ごし方※PBL:Problem-Based Learning、Project-Based Learningなどの略。グループで課題やプロジェクトに取り組み、知識の習得に加え汎用的な能力・スキルの獲得を目指す授業形態。9

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