IKUEI NEWS vol59
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未来は国際化されたコミュニケーションとともにあるゼミでは活発な議論が行われる。南大沢キャンパス全景。------首都大学東京の未来像と、実現への課題をお聞かせください。 私が学長になって最初に取り組んだのはダイバーシティー(多様性)と国際化でした。つまり、地域、国境、男女、年齢、国籍、人種を問わず、異なる文化を理解・尊敬する社会をつくることです。 まず、副学長を江原由美子先生(注)にお願いしました。学生の女性比率は看護系の健康福祉学部のおかげで35%程度ですが、理工系では20%程度です。教員の女性比率は16%程度ですが、現在、3年間で新任教員の30%以上は女性を採用することを目指しています。国際化も遅れています。在学している外国人学生は360人程度で、全体の4%程度に過ぎません。 イギリスの『タイムズ』の大学ランキングでは、本学は総合力では国内7位、世界で237位と評価されています。本学から発表された論文が、世界中でどのくらい引用されているかという研究の質の評価では、他大学を大きく引き離して日本トップです。ただ、本学のように規模の小さな大学は、人数が少ないため、コンスタントに論文を出し続けるのは難しいところがあります。 日本の主要大学は英語での授業を本格化し、論文も積極的に英語で発表し、卒業生が英語圏で活躍できるような人材育成が急務です。そうでないと日本は世界から置いていかれてしまいます。日本にも英語での教育で成果を上げている大学がありますが、「教育」に特化しているところが多いようです。先ほども申し上げたように、大学には「教育」と「研究」の両方があるべきだというのが私の持論です。その環境で英語化してこそ、〝ユニバーシティ〞としての存在感が発揮できると考えています。(注)専門は女性学、ジェンダー論、理論社会学。日本を代表するフェミニストの一人であり、フェミニズムの議論のまとめ役としての仕事も多い。社会学博士。------これからの時代を担う大学生に学長からのメッセージを…。 80年代までの日本の強さは、ハードウエアの強さ、もの作りの強さでした。物は見れば分かるので、そこに言葉はいらなかった。ところが、90年代から発達したコンピュータ関連の産業は言葉をベースにした産業です。コミュニケーションが成り立たないと、商売になりません。だから英語を学ぶことが必要だったのですが、誰もその切り替えをしなかったことが、今日の状況を招いたと考えています。物をベースにした産業・製品から言葉をベースにした産業へと移行した典型的な例が携帯に自分の将来を予測していない。だから、自分に合ったものを見つける確率を高めるためには、視野を広くしないといけない。自分の知らないものを専門にするわけにいきませんから、とにかく教養を身につける。そこで大切なのがクリティカル・シンキングです。 本学ではそのために一般の大学とは学部構成が少し違うものになっています。伝統的な学術体系を全部一つの都市教養学部に入れ、〝ユニバーシティ〞としてのミッションとしています。下の3つは首都大学東京の特徴あるミッションで、大都市を研究し学ぶための学部です。25

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