IKUEI NEWS vol58
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害することもあるので、そのあたりのバランスの取り方は非常に難しい課題です。活動の過程で間違ったり、行き違いがあることも学びの一つと思うからです。 私が意識して行っているのは、まず自分のやりたい活動を学生に選ばせること。その段階から自主的な判断の余地を与えるようにしています。活動後には自分の経験を仲間と共有し、他の学生の経験を聞き、自分を振り返る、というグループ学習も不可欠です。 現在は前期の「ボランティア論Ⅰ」と、後期にコーディネーター的な要素も勉強する「ボランティア論Ⅱ」という上級科目があります。「ボランティア論Ⅰ」では、すでにあるボランティア活動に参加させますが、「ボランティア論Ⅱ」では、課題発見から、活動の立ち上げ、企画や準備など、すべてのプロセスを学生が自分たちで考え、行動してまとめていきます。 受講を終えた学生の中には、自分たちで海外スタディツアーを企画して実施する例や、NGOで活動を続ける例もあり、授業の成果を感じています。1998年にはクラスの有志が集まって、活動に継続性を持たせようと「亜細亜大学ボランティアセンター」を設立しました。大学直轄のボランティアセンターではなく、サークルですが、海外のプログラムを企画したりしながら10年以上経った今も活動を続けています。現場の力で学生を育てる、それがボランティアです 中にはボランティア活動に大きなやりがいを見出し、休学・退学して活動に没頭する学生もいます。それに対する反論もありますし、私自身も、学生の本分は勉強だと思っています。しかし、ボランティア活動が、自分のキャリアを見直すきっかけになることもあると思います。 面白いと思えない勉強をやってもなかなか身につきませんから、社会に出て自分の興味や役割を見つけたのなら、それをとことんやってみることも一つの選択です。そうすることで、より多くの学びや成長につながっていく可能性もあると思います。万一大学を辞めたとしても、その後の過程で学ぶべき課題を見つけたら、また勉強に戻ってくることもできるのですから。 私は、学生にボランティア体験を通じて幅広い社会の問題に目を向け、さらに大きく成長してほしいと思っています。色々な意見があると思いますが、現場で学ぶ効果はやはり大きいです。現場でじかに見て、感じることは若い人たちにとって大変貴重な経験です。受入先の方々も、学生を受け入れることによる負担はある程度覚悟の上で、ボランティア活動を通じて学生が成長することを期待していると感じます。 ボランティア活動は、ボランティアという単に限定された役割を果たすのではなく、生身の人間性が問われる活動です。そこがインターンシップと違うところです。今、東日本大震災の復興支援ボランティアに参加している多くの若者たちの姿勢に、これからの日本の希望を感じています。ボラ栗田 充治(くりた みちはる)1947年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。東京大学助手などを経て、現職。専門は倫理学、ボランティア論、リーダーシップ論など。日本ボランティア学習協会副代表理事、小山内美江子国際ボランティアカレッジの講師を務めるほか、亜細亜大学がある武蔵野市の市民活動にも関わっている。ボランティアに関する編著書に『まあるい地球のボランティア・キーワード145:ボランティア学習事典』(2003)など。亜細亜大学の学生ボランティアの活動(上)亜細亜大学での映画『ゆずり葉』上映会の様子(下)岩手県大船渡市での復興支援活動6

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