IKUEI NEWS vol58
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学生の成長に感動しボランティアを正課に 私が本格的にボランティア活動に関わったのは、1990年代初めの湾岸戦争の時に、イラク国境に発生したクルド難民の救援隊に参加したのがきっかけです。本学から約40名の学生をイランの難民キャンプに派遣することになり、当時、学生部長だった私も先遣隊として現地入りしたのです。 学生の本隊はオーストラリアのNGOと協力して、難民キャンプの方々への生活物資の買い付け・配布作業を行いました。たったそれだけの活動にもかかわらず、3週間後に学生たちが大変たくましくなって帰国したことに驚きました。顔つきが変わっていましたね。この変化と成長を目の当たりにしたのを機に、ボランティアの正課プログラムを作ろうと大学に提案しました。そして発案者の私が担当となって本学のボランティア論の授業が1993年度から始まったのです。ボランティアを学ぶことに単位を与える ボランティア科目を作った頃は、文部科学省もボランティアに今ほど熱心ではなかったですし、学生のボランティア経験者もほとんどいない時期でした。それでも学生の関心は高く、土曜日午前の授業にもかかわらず、100名以上の申し込みがありました。 派遣先は保育園や高齢者施設での手伝い、清掃が中心でした。ボランティア活動に行く前にはオリエンテーションを実施して、心構え、ルールやマナーを教え、車いすの扱い方や、盲人誘導法など、基礎的な学習をしてから送り出しました。それが功を奏したのか、活動先でもトラブルはほとんどありませんでした。 実習後には「自分にとってボランティアとは何か」を考えるレポートを書かせています。それを読むと、どの学生も最初の活動の時は不安で緊張しており、特にコミュニケーション面で非常に苦労しているのが伝わってきます。 活動先ではボランティアという役割ではなく、一人の人間として相手に接するようにアドバイスしているのですが、そうした姿勢で試行錯誤を重ねていくうちに、学生は改めて自分という人間を見直すようになります。特に今の学生は、教師と家族以外の大人と付き合う経験があまりない分、活動先の方々に自分の行動を受け入れてもらったり、感謝されたりすることに手応えを感じているようです。そういった経験を通じて、自己肯定感を見出していくのでしょうね。 授業は講義と20時間程度の実習を義務付け、半期で2単位を認定しています。ボランティア活動の単位化については様々な議論がありますが、この授業では、ボランティア活動そのものに単位を与えるのではなく、ボランティアについて学んだことを評価するというスタンスです。「参加する」から「企画・行動・まとめ」でより深く ボランティア学習は学生の主体的な学びのプロセスを確保することが大切です。「自発性」は行動によって育てられる面もありますから、きちんと我々教員が、学生の自主性を促す教育プロセスを用意することが必要です。ただし、活動プログラムを作りすぎると、学生の自主性を阻ンティアは社会を知る機会を与えてくれる亜細亜大学 国際関係学部教授 栗田 充治<学生ボランティア推奨派の意見>5

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