IKUEI NEWS vol58
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4づき」を得るきっかけとして、「学生が地域で、異なる世代の方や他大学の学生と一緒に活動していく中で、自分の色々な可能性に出会えるところに、大きな意味がある」と述べています。 一方で、本来は自発的なものであるべきボランティア活動に単位を出すことや、「ボランティア=良いこと」と妄信してしまうことについては反対意見も上がっています。 東洋大学の疋田聰教授は、「教えられたことをベースに、自分で考える。そういった姿勢を身につけた上でボランティアに参加してほしい」と述べ、「世の中の常識・通念・空気に対して、疑問を持つこと」を学生に求めます。 また、今号で『企業は学生のボランティア活動をどう考えるか』をテーマに寄稿していただいた田宮寛之氏、常見陽平氏の両名も「ボランティア活動は良いことだが、就職活動に有利に働くとは限らない」という点で意見が一致しており、大事なのはボランティア活動にどれだけ意識的に関われるかであると述べています。その理由として、田宮氏は「日頃の学生生活では見ることのできない世界を見て視野を広げ、挫折と達成感を体感し、組織で働くことを経験することは企業に入ってから役に立ちます」と述べ、常見氏は「企業の採用担当者が気にするのは、何をやったかだけではなく、どうやったか。知りたいのは、価値観、行動特性、思考回路などである」としています。 ただ漫然と参加するのではなく、それが自分にとってどのような意味を持つのか、そして自分には何ができるのかを一度しっかりと考えた上で最初の一歩を踏み出すこと。その準備段階があってこそ、ボランティア活動を本当に充実した経験にすることができるのではないでしょうか。 東日本大震災から一年。学生による震災ボランティアの状況を整理・検証することを目的に設立された学生ボランティア研究会では、震災ボランティアに参加した学生に参加理由を尋ねるアンケート調査を行い、先日その結果を発表しました(図6)。 その回答の大部分が「被災地を自分の目で見てみたかったから(65・0%)」と「いてもたってもいられなかったから(64・2%)」に集中していることから、震災ボランティアに参加した学生の大部分がそれぞれに当事者意識をもって現地に入ったことが伺えます。 では、そうした学生たちは被災地の現実を目の前にして、一体何を感じたのでしょうか。今号では、今年の1月28日に早稲田大学で開催されたシンポジウム『社会とつながる学生ボランティア〜大学による震災復興支援ボランティアの取り組み〜』の模様を紹介しています。学生たちの声からは、震災ボランティアに参加した学生たちが、想像を超えた現実に接して戸惑い、葛藤し、悩みつつもそれぞれの答えにたどり着いた様子が伺えます。 彼らの多くが口にしたのは、「自分には何もできない」という無力感でした。そして、同時に「それでも、何かしらの役に立つことはできる」という手応えを感じる機会でもありました。パネルディスカッションに登壇した国際ボランティア学生協会(IVUSA)の伊藤章理事は、そうした学生たちについて「微力だが、無力ではなかった」と評していました。 東日本大震災は、実際にボランティアに参加した学生にとっても、また何かしたいと思いながらも実際にボランティアに参加するには至らなかった学生にとっても、「ボランティアとは何か」ということについて考える大きなきっかけとなったことでしょう。 学生のボランティア活動には様々な意見があります。しかし、学業を疎かにしないことを前提に、ボランティア活動を通じて、他者との関わりの中で、様々な角度から自己を見つめ直す経験は、確かに学生の成長につながると言えるのではないでしょうか。東日本大震災が、改めてボランティアを考えるきっかけに(複数回答/N=123)学生ボランティア研究会『大学教育における震災ボランティア支援のあり方およびその教育効果に関する調査研究』(速報、2012)のデータを基に編集部で作成【図6】震災ボランティアへの参加理由被災地を自分の目で見てみたかったいてもたってもいられなかった友達など周囲の人に誘われた家族・友人・知人が被災したなんとなくその他01020304050607065.064.214.613.07.37.3(%)

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