IKUEI NEWS vol58
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41充実した海外支援で、次代のアジアを担う人材育成を学生の内向き傾向は企業にも大きな責任がある------名古屋大学のグローバル化の特徴は? アジアが中心であることです。法学部の法政国際教育協力研究センター(CALE)では、アジア諸国の法整備支援、法律家の養成、法や政治に関する研究、教育を行っています。その一環としてウズベキスタン、カンボジア、ベトナム、モンゴルの大学に日本法教育センターを開設しました。 ここでは日本語で日本の公民の授業を行い、日本の法治概念を日本語のニュアンスで良く理解してもらいます。というのも日本の法律用語を現地語に翻訳すると、例えばウズベキスタン語ならイスラム教の概念として捉えてしまうので、ニュアンスが変わってくるのです。そして彼らを日本に連れてきて、日本の人権について学んでもらいます。そうすることで、戦後日本の平和な社会を築いてきた日本の法治概念をアジアにも広めてもらいたいですし、日本の法律と、母国の法律を比較・検討して学んだことを活かして、母国の法整備に貢献してほしいと思っています。 ベトナムでは、このセンターで学んだ人材から副大臣が誕生し、各国で多数の弁護士が活躍しています。今まではハノイだけでしたが、今年1月にはホーチミンにもセンターを開設しています。まさに次代のアジアの発展を担う人材供給センターといえます。 同じ考え方で、医学部には医療行政の専門家を作るYoung Leaders’ Program(YLP)があり、農学部もカンボジアを中心に同様のことを進めています。------最近、学生が海外留学を敬遠する傾向にありますが、名古屋大学はいかがですか。 若者が内向きにならざるを得ない最大の理由は就職活動の早期化、長期化です。3年生の春から就職活動に向き合うのでは海外に行く時間などありません。内向きと思うなら、そうさせない環境を作るのが私たちの責任です。 第一に、学生には「就職は大丈夫だ、心配するな」と声をかけています。本学は研究大学というイメージが強いので、中には就職に不安を感じる学生もいます。そういった意識を変えるために、本学の98%という高い就職率のデータを公表しています。就職支援の体制もしっかりしています。学生ができるだけストレスを感じずに、就職活動を乗り越えられる環境を整えた上で、「大丈夫だから海外でしっかり勉強しなさい」と送り出しています。留学のために1年留年しても、ちゃんと就職できる。そういう人材を求めている企業もあるという情報を提供しなければならないですね。------大学のグローバル化を目指す秋入学が話題になっていますが。 大学の秋入学だけでグローバル化が実現できるというのは、あまりにも短絡的な考えです。教育は時期の問題ではなく、中身を実質的に変化させなければ意味がありません。 本学ではすでに一部の学部で秋入学を開始して、2011年10月から文部科学省の国際化拠点整備事業(G30)の一つとして、外国人留学生と帰国子女の学生を対象とした国際プログラムを進めています。そこですべての授業を英語で行うことで、我々教職員が外国人留学生に実質的な効果がある英語教育ができるかどうか、どういった成果や課題があるのかを検証しなくてはなりません。それが見えない段階で、全学部を秋入学にするかどうかを判断することはできません。学部全体の移行は今後のメリットをきちんと見極めながら地道に進めていきます。 また、秋入学導入には、システムの変更や教員への負担が非常に大きく、本学だけでも数十億という膨大なコストがかかります。経営者としてはそれらを考慮した上で、実現可能なシステムを作り上げなければなりません。外国人留学生との交流キャンパスの風景

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