IKUEI NEWS vol58
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ティという公徳心の強いクエーカー教信者によって作られた組織だ。現在は、高校生を含む約5000人にボランティア活動を斡旋している。「私がYSOPを始めたのは、若い時に経験するボランティア活動が、人格形成の上で重要な役割を果たすと思ったから。成功してとても嬉しい」とドティは言う。 また、大学生のボランティア活動が急増しているもう一つの理由は、クリントン大統領によって1993年に創設され、現在は50万人のメンバーを擁する政府のボランティア事業、「アメリコー」(AmeriCorps)の活躍に刺激を受けた大学が「サービス・ラーニング」というコンセプトのもと、学内に学生のボランティア活動を促進する施設を設立したためでもある。BCのVSLCもその一つだが、「『サービス・ラーニング』とは、学校で学科を勉強するだけではなく、課外のボランティア活動を通して社会貢献を行い、その中で人と人との触れ合いを経験しながら生き方を学ぶことだ」と、BCのVSLCのディレクター、ダニエル・ポンセットは説明する。本来は専攻する学科と密接な関係があるボランティア活動を行うものだが、米国では「何でも経験することが大切」として、専攻とは関係ない仕事もプログラムに含まれている。従って、プログラムの多くは、大学がある市町村のコミュニティに密着したボランティア・サービスが主で、老人ホームや孤児院、小学生の家庭教師、スープキッチン(無料食堂)や食料品バンクのための募金活動など、身近な問題の解決を目的としている。もっとも、カトリーナ台風や、ハイチの地震、テキサス州の竜巻被害といった大災害が起こった時にはその限りではなく、十数人の学生が集まって、援助隊として出張することもあった。政府や企業が資金援助をしてくれることもあるが、ほとんどの場合は、「交通費や宿泊費は自分持ち。だからよほどの信念がなければできることではない」と、ポンセットは言う。ボランティア活動と奨学金 大学が学生にボランティア活動を推奨する理由の一つは、それが学生たちの学業や経済的な面での援助にもなり得るからだとも、ポンセットは言う。ボランティア活動が自分の専門科目と密接に結びついている場合は、単位として申請することもできる。例えばBCの3年生で、人文学を専攻しているラッサ・パテルの場合は、1年間、毎週数時間ずつ高齢者施設の慰問や中学生の学習指導を行った経験をまとめた論文が、人文学の単位として認定された。教育学部の学生は小・中学校で教えたり、コンピュータ学部の学生は、募金のためのコンピュータ・プログラムを作ったりすることで単位を取得できる。 また、特定のコミュニティ・サービスへの従事を志願することで、奨学金やそのほかの経済的な援助を得られる可能性がある。 アメリコーをはじめとする政府や非営利団体の多くが、ボランティア活動に従事する学生に奨学金を支給している。例えば、ボナー・スクーラーズ・プログラムという奨学金制度では、特定の大学に在学する学生が、4年間コミュニティ・サービスのボランティア活動を続けて行なった場合に、最高で4000ドルの奨学金が与えられる。 非営利団体ドゥ・サムシングが米国とカナダの市民を対象に行なっているドゥ・サムシング賞は、特定のコミュニティの生活向上に大きく貢献した人36ニューヨーク最大のボランティア組織YSOPの創始者は、熱心なクエーカー教信者のエドワード・ドティ氏。「自分の息子たちにボランティア活動を経験させたいと思ってこの組織を作った」と言う。カトリーナ台風がニューオリンズを襲った時、BCのVSLCのメンバーは直ちに現地に赴き、その清掃活動に参加した。BCのVSLCのディレクター、ダニエル・ポンセット。ディレクターになる前はカトリックの牧師だったそうだ。「この仕事は僕の天職」と言う。

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