IKUEI NEWS vol58
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30 高校生と毎日夜中まで眠い目をこすりながら勉強して、寝食を共にする中で感じたのは、放射能差別によって福島の人々が受けた深い傷です。そんな高校生の心情が見え隠れする一週間は、その傷に寄り添うことのできない自分の無力さを痛感する日々でもありました。 双葉地区では、原発について語ることはタブーだといいます。インフラの整備や雇用の面で原発の恩恵にあずかってきたこの町で原発を悪く言うことは、友人や町の人を否定することにつながるのです。普段は明るい高校生たちも、心の奥には差別を受けた苦しみを抱えていました。福島ナンバーだからという理由で洗車や給油を断られたこともあったといいます。しかし、そんな苦しみを涙ながらに語りながらも、「がん専門の看護師になって、内部被曝した一人として患者の気持ちに寄り添学生からの報告福島の現実を受け入れた高校生の夢いたい」という夢を話してくれた生徒がいました。「福島県浪江町に生まれ育った私にしかできないことを見つけられた気がする」という彼女の言葉に、私は故郷の現実を受け入れ、「自分だけの物語」を紡ぐことで歩いていこうとする彼女の覚悟を感じました。文化構想学部4年 杉山雄飛早稲田大学 WAVOC 東日本大震災復興支援プロジェクトの活動内容■泥かき・瓦礫撤去(気仙沼市、石巻市、陸前高田市、釜石市など)■石巻炊き出し便■気仙沼市仮設住宅のコミュニティ支援■栃木県益子町登り窯の復旧作業■福島県立双葉高校の生徒への学習支援■被災地主催のイベントへの参加・運営補佐■体育会・サークルによる中学・高校での部活動指導■文化系サークルによる病院・施設・学校などでの文化活動●合唱、コンサート、パントマイムなど本プロジェクトの取り組みは、双葉高校の生徒「ぺいちゃん」の物語を追った約15分の短編ドキュメンタリー映像『福島からの手紙』として報告されたることが、福島の支援につながっているのだと思います。 そういった試みの一つとして、今回の学習支援に参加した杉山雄飛さんは、活動のドキュメンタリー映像『福島からの手紙』を制作しました。杉山さんは震災以前からCommu-nity AIDS Project のメンバーとして、差別・偏見の問題に取り組んできた学生です。映像にはそんな彼の目から見た放射能差別の問題と、高校生たちの想いがリアルに映し出されています。そこに込められた彼のメッセージを、皆さんにも是非聞いていただきたいと思います。栃木県の宿舎を借り、24時間体制で行われた勉強合宿では、食事も一緒に作り、生活を共にする中で、大学生と高校生が打ち解けていった

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