IKUEI NEWS vol58
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12から、発展途上国支援、高齢者や障害者の支援、地域の活性化支援など実に多様である。自分がなぜ、それに取り組もうと思ったのか、少しでも役に立つために工夫したことは何なのか、どんな困難を乗り越えたのか、そこで何を学び、どう成長したのかを伝えてくれないとまったく意味がない。実際、ボランティアに行っても、言われたことをやるだけで受け身の姿勢の人や、お荷物になる人は、いる。もちろん、その善意は否定しないものの、企業の興味はその取り組みへの姿勢に向けられているのであり、そこから仕事でも活躍できそうかどうか、成長し続けそうかどうかを判断するのである。 また、学生の社会貢献志向を、企業が必ずしも評価するわけではない。前提として社会貢献は大事なのだが、それは企業が出資をして発展途上国に学校や図書館を作ることやエコに取り組むことだけではない。忘れてはいけないのは、企業活動そのものが本来は社会貢献活動であることだ。企業活動とは価値の創造と提供による、継続的な利益の追求である。つまり、商品・サービスを提供し、価値を届けることで顧客満足を勝ち得るし、それによって得た利益から税金を払うことで国や地域に貢献するのである。また、企業活動によって雇用が創造されていることも立派な社会貢献である。このことを意識せずに、また本業のことを考えずに単に発展途上国援助をしたい、エコをやりたいと言われても、採用担当者としては戸惑ってしまうものである。 どうやって社会や人の役に立つために努力したのか、これを伝えてほしい。成長につながるボランティア活動の取り組み方 ボランティア活動をする際も、ただ受け身で取り組むのではなく、もっと役に立つにはどうすればいいか、課題をどう乗り越えるかということを意識してほしい。社会が求める人材、そして今後生き残ることができる人材は考えて行動できる人材である。ボランティアのような活動こそ、どうやったらもっとうまくいくかという発想が必要である。適切なレベルでプロフィタブルで、サステイナブルでなくては意味がない。 また、「かわいそうな人を私が助けてあげる」という上から目線での取り組みはぜひやめていただきたい。支援の対象は好きこのんでその環境に置かれたわけではない。生き残るための努力をしているし、今の生活に誇りを持っているものである。謙虚さを胸に取り組んでほしい。 ある大手旅行代理店の役員に聞いたが、被災地向けのボランティアバスを運行すると、いつも満席らしい。乗客のメインは大企業の社員だ。中堅・中小企業の社員、学生はほぼいない。それだけ大企業の仕事に疑問を感じているのだとも言えるし、参加する余裕があるのだとも言える。学生時代だけではなく、社会人になってからも多様な視点を持ち続けるため、自分を成長させるためにもボランティアに注目してほしい。 どうやったら社会に貢献できるか?これからのビジネスパーソンに必要な視点であることは間違いない。常見 陽平(つねみ ようへい)一橋大学商学部卒。就職氷河期時代の就活を経てリクルート入社。その後、玩具メーカーで新卒採用を担当。人材コンサルティング会社クオリティ・オブ・ライフ参加後、現在は同社フェロー。新卒採用、キャリア論、サラリーマン論、若者論などを研究中。実践女子大学、白百合女子大学、武蔵野美術大学で非常勤講師を勤める。一橋大学大学院社会学研究科にひっそりと在籍中。『大学生のための「学ぶ」技術』『就活難民にならないための大学生活30のルール』(ともに主婦の友社)など。

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