IKUEI NEWS vol58
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10きるということです。一般的な学生の行動範囲はそれほど広くありませんが、ボランティア活動をすることで行動範囲と視野が広がります。 例えば、海外の貧困地域でボランティア活動をすれば、日本では想像もできない深刻な状況を見なくてはなりません。厳しい環境の中に入っていくことで心身ともに鍛えられると同時に、様々なことを考えるでしょう。 二つ目の理由は、「挫折」を知る機会になるということです。例えば、東日本大震災の被災現場では、あまりの悲惨な状況と自分自身の無力さに挫折感を味わったボランティアが少なくないそうです。最近は大学受験が楽になったことにより、挫折を経験しないまま成長した学生が多くいます。そのため、企業に入ってから壁にぶつかると立ち直れないというのはよく聞く話です。若いうちに挫折を知るのは貴重な経験です。 そして、重要なのは挫折感を味わってから、一歩前に踏み出す経験をすることです。被災地に駆けつけたボランティアも挫折感を味わい、そのまま帰ってしまったわけではありません。気を取り直して、懸命に活動したのです。その結果、瓦礫の撤去など様々な状況が大きく改善しました。挫折と達成感の両方を知ることで人間的に成長するでしょう。 三つ目の理由は、組織で動くということを体験できることです。 ボランティアというと、自発的にやるものなので、組織とは関係ないように思う人がいるかもしれません。しかし、各自が勝手に活動していては効果がありません。 例えば、東日本大震災の被災地域には1年間で延べ約100万人のボランティアが集まりました。100万人がバラバラに動けば大混乱となったはずです。地域やグループごとにリーダーを決めて、役割分担を決めて活動したからこそ成果が上がったのです。 最近の学生は友人と一緒に行動することは多くても、目的に向かって組織として動くことをあまりしないでしょう。ボランティア活動を通じて、リーダーシップを取る、リーダーをサポートする、責任を持って自分の任務を遂行する、といった経験をすることは成長につながります。ボランティア活動とは見返りを求めないもの 「ボランティア活動は就職に役立ちますか?」と質問されることがよくあります。私は「ボランティア活動と就職を関連づけることは間違っている」と答えることにしています。本来、ボランティア活動とは、何の見返りも求めずにやるものです。ボランティア活動と就職を切り離して考えましょう。社会貢献し、喜んでくれる人たちがいて、自分自身も成長できるならばそれで十分ではありませんか。日頃の学生生活では見ることのできない世界を見て視野を広げ、挫折と達成感を体感し、組織で動くことを経験することは企業に入ってから役に立ちます。就職試験の時にはあまり評価されなくても、ボランティア活動の経験は長い人生の糧になるはずです。田宮 寛之(たみや ひろゆき)1987年明治大学経営学部卒業後、ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)入社。東証記者クラブで株式、債券、為替などの取材を担当。1991年に同社を退社し、米国ウィスコンシン州ワパン高等学校「Japanese class」の教員に。1993年に東洋経済新報社に入社し、自動車、生保、損保、食品、流通、住宅、外食などの各業界を取材。2002年『週刊東洋経済』編集部で、マクロ経済からミクロ経済までの特集を担当。2007年「オール投資」編集長。2009年「東洋経済HRオンライン」を立ち上げて編集長となる。著書に『就活は3年生からでは遅すぎる!』(東洋経済新報社)など。(ホームページ)http://www.toyokeizai.net/ad/hr.html(公式ツイッター)http://twitter.com/ToyoKeizaiHR

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