
英語能力をあげるため
EUについての知識を深めるため
平成18年9月~平成19年6月
リーズ大学(イギリス、ウェストヨークシャー地方)
東アジア研究学部政治・国際関係学科
留学目的のひとつとして大学院でも通用する英語能力を身につける、というものを掲げた。1年前にこの目的を掲げた時点では、大学院でTESL (Teaching English as a Second Language、第二言語としての英語教授法)を専攻するのに十分な英語能力を求めていたが、リーズ大学で心理学を専攻している友人と議論を重ねているうちに関心が心理学へと移り、大学院では認知心理学を専攻したいと考えるようになった。認知心理学を研究する教育機関を調査していくうちに、それを高等教育機関で専攻する場合においても、英語で書かれている文献が多数ある点、日本よりも海外の大学で研究が盛んな点は変わらなかった。そのため、1年前の目的に掲げた通り大学院でも通用する英語、つまり文献を難なく理解でき、また英語で自分の考えを伝えられるのに十分な英語能力をイギリスで身につけるべく勉強に励んだ。
勉強といってもただ机に向かって心理学関係の文献を読むだけではなく、コミュニケーション能力の向上にも努めた。授業でイギリスの政治学を取っていたということもあり、BBC (イギリスのニュース番組)を毎日見るようにしていたため、英語が母国語である友人たちとその中で気になったトピックを話し合ったり、理解できなかった表現や語句を彼らに確認したりしていく中で、政治について学ぶと同時に英語を用いてコミュニケーションをする機会を増やした。私の滞在していた寮はイギリス人だけではなく世界中から留学生としてリーズ大学に所属している学生も多数いたため、彼らとの交流を通して客観的でグローバルな視点から物事を考えることもできるようになった。
また授業においても、教授や友人に質問をしたり、セミナーで発言をしたりすることによって積極的に授業に参加し、その分野に対する理解を深めていった。もちろんイギリスの政治学を専攻する学生のほとんどがイギリス出身で英語のネイティブスピーカーということもあり、最初の1ヶ月は自発的に発言をするということにかなりの抵抗があった。しかし、セミナーに参加し続けるうちに、彼らが私に求めているのが完璧な発音ではなく、私の考える内容そのものであるのだということが分かった。それは流暢な英語が話せないコンプレックスから授業に受動的であった私の姿勢を、もっと自分の考えを知ってほしい、またそれに対する相手の考えももっと知りたいという授業に積極的に参加する姿勢へと変えるきっかけとなった。
授業とは別に、リーズ大学では、各授業でadditional readingsと呼ばれるその授業に関連のある文献のリストが配布されるシステムがある。私はそれを利用し、授業の予習としてadditional readingsを読む中で文献を理解する能力、また多くの文献から得られる情報をまとめる能力の向上に努めた。
もうひとつの留学目的として、EUについての知識を深めるため、というものを掲げた。ヨーロッパの国々はそれぞれが独特の文化や考え方を有している。私は、そのようなユニークな27カ国がどうやってEUというひとつの共同体として機能しているのかという点に深い関心を抱いていた。今回イギリスへの留学を決意したのは、EUの一加盟国として大きな役割を果たしているイギリスで、人々が実生活の中でEUという共同体をどのように捉えているのかということを、理論だけでなく自分の目で確かめたかったからである。
理論としては、リーズ大学でBritish Politics(イギリスの政治システム)を履修、イギリスとEUの関係に焦点をあててEU加盟国においてイギリスがどのような役割を果たしているのかを認識しようとした。この授業では基本的なイギリス政治の仕組みと、イギリスがEU加盟国としてどのような立場にいるのか、またEUを通してイギリスをさらに発展させるためにどういった政策が現在取られているのか等といった、イギリスとEUの関係に焦点を当てた授業が展開され、イギリスから見たEUを知るのにおおいに役立った。セミナーでは私を除いてほとんどの学生がイギリス出身だったということもあり、政策だけではなくイギリス国民である彼らがEUをどのように捉えているのかといった点まで観察、学習することができた。
また長期休暇を利用してEU加盟国を旅行(オランダ、ベルギー、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア)し、EU加盟国内で行われている単一市場政策を実際に体験した。実際にEU加盟国内、特に域内統一通貨であるユーロをしようしている国においては、EU内ではどこでも自国と同じように生活できるこの単一市場政策は非常に便利であり、大小様々な国々で成り立っているヨーロッパにおいて人々が便利に暮らすのに大いに役立っているように感じた。またEU加盟国籍のある国民は域内であればシェンゲン協定により他国への移動も自由にできるようになっており、その移動のしやすさが域内市場の活性化を促しているという事実を実際に確認することができた。
1年間の留学を終えて、自分が実に多くのことを学んできたということを実感している。それはもちろん英語の会話能力やEUについてのより深い理解といった、1年前に掲げた目的に沿った結果もあるのだが、それ以外にも興味を追求する実行力であったり、客観的な物事の捉え方であったり、留学をしなければ得られなかったものを得ることができた。そういった意味で、留学目的以上のことを達成してきたと言えるだろう。