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先輩の留学報告

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平成17年度生
京都大学農学部食料環境経済学科4年  今村 舞子

留学の目的

ベルギー留学の反省と今後の展望。

期間

平成17年9月~平成18年6月

留学校

ルーバンカトリック大学(ベルギー)

学部

経済学科

まず始めに、私が滞在していたベルギーのルーバンカトリック大学の特異性について言及しなければならないと思う。何故ならば、この町は、日本には無いタイプの、極めて人工的な街だからである。歴史を紐解けば、話は、ベルギーの国問題である、言語紛争が元となる。ベルギーの言語は、北側はオランダ語に近いフラマン語(これがベルギー語と言われるもの)、南側はフランス語、東側のドイツ語の、3言語から成り立つ。私が勉強していた大学は、南側の、フランス語圏(ワロン地方)に位置している。もともと、ルーバン大学は、ルーバンというベルギーのフラマン地方、つまり、フラマン語圏にあった。しかし、後に、学内での言語紛争により、フランス語派の学生、教授は今の位置にルーバン大学を新たに作った。この言語紛争は、ベルギーの国問題であり、現在も言語間の争いはある。ベルギー人同士が、同一言語で互いを理解できないという、日本では信じられない現実がある。私の住んでいた町、ルーバン・ラ・ヌーブの、ラ・ヌーブとは、「新しい」という意味であることからも、新しい街であると納得できる。したがって、ルーバン・ラ・ヌーブという街は、大学のために作った、大変人工的な街なのである。だから、授業の大部分はフランス語で行われる。また、学生の3割が留学生ということもあり、フランス語の授業が大変充実していた。私が受けたフランス語の授業は週に12時間と、密度の濃いものだった。前期も後期もこのコースを取ったため、フランス語を集中的に学習できてよかったと思う。普段の生活は、英語、フランス語両方使っていた。

他に出席した授業は、経営の授業である。週に10時間、英語で行われ、リレー形式で行われるため、教授毎に内容が異なる。Logistics and Supply chain Management という授業であり、経営を、様々なモデルを使用して、多角的に思考する内容であった。毎回課題が出され、グループごとにみんなで取り組まなければならなかった。そのため、課題が難しいときは、毎日放課後残って考えた。それでも分からなかった問題もあった。受講している学生は、留学生も多く、活発な意見交換が行われた。中には、大変優秀な学生もいて、自分とのあまりの差に情けなくなったこともあった。私は日本で農業経済を学んでいたが、この授業は、大変専門的経営知識が要求され、正直授業についていき、宿題をこなすのがやっとだった。あとで分かったことだが、この授業は、MBA用の授業ということで、特別難しい内容であったそうだ。経営を学問的に学ぶということがどのようなものかを知るのには、大変良い機会だったと思うが、このような授業を受けるには、自分はまだまだ準備不足であったと思う。日本である程度しっかり基本を身に付けておくべきだったと反省している。

他に、卒論研究として、ベルギーチョコレート産業の調査を現地で行った。ベルギーにとって、チョコレートは輸出力の強い、現在でも世界市場で伸び続けている重要な産業である。ベルギーには数多くのチョコレート製造業者があるが、その中でも、ハンドメイドにこだわるチョコレート製造業者に焦点を絞り、聞き込み調査を行った。ベルギー全土で、約20店舗を調査した。そのほとんどが、家族経営である。聞き込みを行っているうちに、意外であったのは、ベルギーに1店舗しかないような小さな製造業者であっても、日本やアメリカ、カナダ等、海外輸出に力を入れている店が多いことである。ベルギーチョコレートが世界一の品質であるという評判をたてることで、世界でも十分に通用する自信がどの店にもあった。グローバル企業である、GODIVAがベルギー本土で最も売れているかといえば、そうでもないのも事実であり、街に昔からあるチョコレート屋が売れている場合も多い。このほかに、ベルギーのフラマン地方、ブリュッセル、ワロン地方別に見たチョコレート産業の違いや、学校の図書館に保存されているGODIVAの経営研究等も調べているところである。帰国してからも、ベルギーの食品産業の中で、チョコレート産業がどのような位置を占めているかをもっと検討していかなければならないと思う。

ベルギーで感動したことは、週に二回ある、マルシェ(市場)である。農家が、自分で作った野菜、果物、乳製品、肉等を、店頭で販売するのだが、新鮮なことは当然ながら、形が自然のまま様々で、泥のついたものもあり、見ていて大変楽しかった。実際食べてみても、味が濃い。季節を意識せずにはいられないし、何より安全なのがうれしい。また、スーパーでも、野菜のサイズは様々で、必要以上の包装はされていない。また、完全無農薬野菜(BIO)、食品の種類、数の多さは、日本のスーパーで置いてあるものより多かった。市民の食の安全に対する意識も強いのだろう。日本でも食の安全にたいする意識は年々高まり、農業に目を向ける人も増えてはきている。スーパーで買い物をする楽しさを味わうように、小さなところからも、普段の食べ物に注意を払うようになる工夫をしていかなければならないと思う。私は日本で農業経済を専攻しているが、自給率を上げることは日本の永遠の課題であると思うし、解決のめどが立たない問題でもある。ベルギーで感じたことを、今後日本で深めていきたいと思う。

以上がベルギーで1年間主にしたことであるが、正直、1年という時間は、あまりに短かった。しかし、実際の体験は、何物にも変えがたく、一生消えないと思う。ベルギーでのたくさんの「縁」を今後も大切にしていき、どんな仕事をしようとも、日本レベルで考える時代ではなくなった今、自分の力をつけたいと思う。