
英語教育法を学び、英国の芸術文化に触れ、多様な体験をもとに精神的成長を目指す。
平成18年8月~平成19年6月
Liverpool John Moores University(イギリス)
言語学科
英語教育を学ぶ者として、日本とは異なった教育方法についての知識を深めたいと思います。また伝統的でいてそして新しいイギリスという国の芸術文化に触れ、それらを中心に教養を高めたいと思います。さらにいつもと違う環境に身を置くことで鍛錬し、自立による自己成長を目指しました。
学科の授業ではイギリスの政治や現代社会の諸問題、イギリスとEU、アメリカとの政治的関係について、国内で放送されているテレビ番組の構成やひとつひとつの言葉や映像に込められた効果を検証したりと、英国社会についてが主な内容でした。イギリスの外交関係や経済に関する授業ではアメリカと石油とイギリス政治の関係、またイギリスのユーロ未加入問題を同じ島国である日本とアジア諸国との関係と比較して研究しました。
主な学業においての目標であった英語教育(TESOL)についても勉強しました。ここでは外国語として英語を習得する人たちにどのように英語を教えるか段階に合わせた教育法を実践的にも理論的にも考え、授業を実際に構成したりしました。イギリスは英語発祥の地であり英語が当然のように話されているものの、国際化に伴い多くの外国人を受け入れているため、英語を教える教育が日本とは違った形で発達していて、その違いを比較しながら勉強していきました。日本での書くことのみに重点を置いたものと異なり、生徒の英語のすべてのスキルを相互に関連させながらいかに伸ばしていくかを考え、また型にはまったものではなくいろいろな形で生徒の積極的な参加を引き出そうとする授業方法はなかなか知ることはできないので今後の授業計画を立てるにあたり大変参考になりました。
他学部のものでしたが経営学と経済学のクラスにも入りました。経営学の基本的な内容は一般理論を学び、与えられた大型企業の中から一社を選んで業種によってそれぞれの戦略を考えたりCSRや企業倫理などを学ぶことが中心でした。経済学ではミクロ経済学とマクロ経済学を学び、ニュースでよく聞くような内容に納得したり、一方で日本と違うイギリスの現状に驚いたりすることもよくありました。自分の専門分野でないことを母国語と違う言葉で学ぶということは決して簡単なことではありませんでしたが、得るものがとても多く、自分の視野を広げるのには大変役に立ちました。この二つの分野は日本に帰国した後も勉強を続けています。
出国まで伸び悩んでいたTOEICのスコアも、帰国後には250点も上がり、日本の大学に復学後、一番難しい通訳、翻訳コースに入ることが決まりました。
生活面では、イギリスの豊かな文化に触れることを目標にしていましたが、期待していた以上に芸術に触れる機会がたくさんありました。美術館を巡ったり、高校時代、所属していた管弦楽部の経験の影響もあって、リバプールにあるプロのオーケストラのコンサートに何回か出かけていました。しかし受け身でいることだけでは物足りず、実際にオーケストラに所属することにしました。
市内にあるリバプール大学のオーケストラに入り、二回の定期演奏会に打楽器奏者として出演させていただくことになりました。やはり当初は練習中とまどったりもしましたが、こちらも回を重ねるうちに音楽を通し、言葉の違いを越えて互いに理解できるようになり、関係が強くなっていったのを覚えています。学生オーケストラとはいえ、いろんな職業や国の人が集まっていたため、自然に受け入れられていったことは本当に幸いだったし、いろんな人の考えに学校外でも触れることができてためになる体験であったと思います。
また、ある意味で非日常的な生活を送ることで自分をしっかりと見直す機会もできました。日ごろから一人で過ごすことが多かった私でしたが、当たり前に感じてしまっていた周りの人たちのありがたさを改めて知ることで人と関わることに対してより積極的になることを学びました。当初の留学の目的として、「精神的自立」と掲げていましたが、私に必要だったのは、「共生することの大切さ」であり、それを気づくことで私はもっと精神的に成長できたのではないかなと思います。
留学を通して思うことは価値観や将来観ががらりと変わったことです。というより、自分がそれまでいかに小さな世界の中で生きていたかということを思い知り、強い危機感を覚えました。すべてにおいて自己責任が伴い緊張感を保ちながら生活する中で、常に問題意識を持って社会を知ろうとする大切さを留学で学んだのです。新しいことから自分の知識を広げ深めたいという欲求が強くなったことは日本に帰った今も変わっていません。
留学生活の中で二百年も前に奨学金を受けてイギリスに渡った夏目漱石のことをしばしば思いました。帰国後漱石が素晴らしい業績を残したように、私も一生懸命である姿勢を維持し、自分の広がった世界の中でこの財産とも言える貴重な経験を持って社会に貢献できたらいいなと思います。